「悲しき鐘の音やるせなし」獄門島(1977) しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
悲しき鐘の音やるせなし
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金田一耕助シリーズ(石坂浩二主演版)第3作。
DVDで鑑賞。
原作は高校1年生の時に読みました。
絶海の孤島と云う閉鎖空間で繰り広げられる愛憎に満ちた人間模様が秀逸でした。狭いからこその濃密な人間関係が要になっており、登場人物たちの思惑が絡み合って非常に面白い。横溝作品伝統のややこしい相関図も言わずもがな…
本作のメイン・トリックも前作に続いて見立て殺人。前作に負けず劣らずな凄惨さで、三姉妹の派手な着物が陰惨さを引き立てていましたし、残酷な絵図を耽美的に魅せる市川監督の映像センスも炸裂していてうっとりさせられました。
真相について原作から大胆な改変を行っていて、公開当時の大きなセールスポイントだったらしいと知りました。
予告編においても、作者である横溝正史が「私もこの映画の犯人を知らないんですよ…」と言っていました(笑)。
この改変は見事功を奏していて、人間ドラマに一層深みを齎し、悲劇性を際立たせることに成功していると思いました。
事件の背景には戦後の混乱が関わっており、悲しき結末へ向かう引き金になるところが、本作が名作たるひとつの理由ではないかな、と…。最後に早苗が突いた鐘の音も、なんとも切なくて、やるせない気持ちにさせられました…
※鑑賞記録
2022/08/06:Amazon Prime Video
※修正(2022/08/06)
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