「少年の決意と大人の後悔」銀河鉄道999 なつさんの映画レビュー(感想・評価)
少年の決意と大人の後悔
子供の頃、この作品の漫画を読んだ。
ちょうどトチローの辺り。
なんだか難しくて良く分からなかった。
大人になってもたぶん分からないだろうなぁとは思っていたが、まさにその通り。
銀河鉄道999をアニメで観ても良く分からなかったし、なんなら合唱コンクールでアニメ版の汽車は〜波をぬーけて〜って歌わされた意味も良く分からなかった。
しかし、分からないながらもこの劇場版には心を奪われた!
今月(2024.12)初旬、限定上映に這ってでも行きたいと思っていたのだが、残念ながら思い途絶えたので悔し泣きしながら視聴。
だってロマンをたっぷり詰め込んだ作品。
謎の美女メーテル、銀河を走るレトロな蒸気機関車999、山賊や宇宙の海賊、戦士の銃。
序盤のメーテルのシャワーシーンよりX線の方がエッチいとかビビる。
何度か配信で視聴しているが、大人の事情で鉄郎が大人になっちゃって嫌だったな。さすが音楽担当のゴダイゴ!列車999に乗り夢を叶えに行くのに未練か不安か非常に浮かない顔をしている鉄郎に希望あるポップな曲を当てるのは最高だなと思った。
母の「機械の体を…」の言葉がなければきっとそんな行動をとらなかったであろう鉄郎。
母親にクリスタルの身体にされ身体を取り戻すために働いてるクレアさん。
母親により人生めちゃくちゃなメーテル。
なんか、みんな大人により人生を強いられてるなぁ。
トチローや、クイーンエメラルダス、キャプテンハーロックなどは今作だけの視聴者には理解し難いところが不親切ではあるが、それが銀河マルチバースなのか。
しかし、惑星メーテルを滅ぼす際のハーロックとエメラルダスの笑みには興奮しかない。
美しさ、知性、母性を持ったメーテル。
鉄郎はきっと母親に似た姿のメーテルに絶対守るという強い心と母性を抱いていたのであろう。
そして恋慕の相手はクレアさん。
極限の状態から連れ出してくれたメーテルの方が鉄郎に恋心を抱いていたのだろうか。
エンディングは毎回泣くしか選択肢がなくて、やはり泣く。
窓を開け、顔を出すメーテル。
名前を叫ぶ鉄郎。
銀河へ消える999。
涙が流れるままに鼻をすすりレールを歩く鉄郎。
ひととき振り返り、そのまま走り出す。
流れるゴダイゴ。
ゴダイゴ天才かな?って毎回思うエンディング。
いや、そもそも天才集団なのだが。
最遊記とかでもお世話になったし。
作品にきちんと寄り添った曲ってすばらしい!
この作品は、古いけど時代設定や、メガロポリスや他の様々な国の特徴、音楽、そしてなにより声優さん達が素晴らしい!!
死生観とか哲学だとかなんだとか別として、作品として少年の成長を赤裸々に見せつけてくる作品としては大満足。
メーテルが美しく、鉄郎がカッコ良ければなんでもいい。大人達より逞しく成長し続ける少年鉄郎。
3部作とのことで一応全部視聴しているけど、この作品だけでいいかなって視聴し直しはしてないなぁ〜。
万感な思いはこの作品にしか抱かなかった。
やはり劇場の大スクリーンで銀河を走る999を観たかった…
もっとアニメの名作の再上映をして欲しい。
午前10時とかにもいれてくれ〜