「少年の壮大な成長物語とは名ばかりで全てがいとも簡単に進むアホみたい...」銀河鉄道999 supersilentさんの映画レビュー(感想・評価)
少年の壮大な成長物語とは名ばかりで全てがいとも簡単に進むアホみたい...
少年の壮大な成長物語とは名ばかりで全てがいとも簡単に進むアホみたいに予定調和な子供騙しの冒険物語。対象年齢は10歳以下といったところか。宇宙一の海賊ハーロックにも、誰もが怯える恐怖のエメラルダスにも簡単に会えるだけでなく、なぜか一瞬で絶対的な信頼関係を築く。無法者の山賊やバーテンもいとも簡単に仲間になる。出てくる女性は絶世の美女ばかりでなぜかみんな鉄朗を無条件に愛し、命まで差し出す子もいる。そしてみんながみんなそれだけの関係を築く理由やエピソードの類はほとんどない。
浅すぎるだろ。人間関係の築き方が。人のチケットを盗み、自分の欲望のためには鉄道の中から銃だってぶっ放す、ただのわがまま放題の少年の行為は誰も咎めず、いつのまにか英雄のような扱い。え?なんか大したことしたっけ?死に別れた母が宇宙一の美貌をもっている設定自体、男の母親に対する憧憬にしてはやりすぎなほどのマザコン設定。なにこれ自分の世界しか知らないアホな小学生の男の子が夢見る空想のお話?
とにかく全部が全部、まともにとりあってはバカらしくなるほど稚拙な世界観。こんな映画見て最高だのなんだの言ってるやつは小学生のままおっさんになってしまったあまりにも痛いオタクぐらいなもんだろと憎まれ口も叩きたくなるほどの駄作。作った人間がどれほど無能なのか疑うレベル。こんなクソみたいな映画を名作なんて言うアホとは口も聞きたくない。
と、口汚く罵ってみた後で言うのもなんだけど、これだけ幼稚な世界なのに、抗いがたい魅力があるのも興味深い。もちろんそれはこの映画の成果ではなく、原作の魅力によるんだけど、おそらく聖書や神話のそれと同じような理由なんだと思う。
母親への憧憬、遠い世界への憧れと故郷からの旅立ち。美しいもの、完全なものへの憧れと憎悪。親殺し。年齢を重ね、経験や知識を重ねれば重ねるほど理解が深まる宗教の逆説的な単純性と似て、ドラマの設定やストーリーテリングは恐ろしいほど稚拙なのに、その寓話のもつ記号的な意味を深読みしたくなるような魅力がある。そういう意味では真面目に見て酷評するような見方をしてはいけないのかもしれない。
というか映画用に2時間にまとめたダイジェスト版だからクソなのかも。20時間くらいかけて、鉄朗の純粋さや勇気、心の成長を描き、周囲がそんな鉄朗に心を打たれて関係を築く、そんな物語であればもっと印象は違ったかもしれないし、テレビシリーズがそうだというのであれば、それこそが人気の秘密だろう。どちらにしても評価が高い人はテレビか原作漫画に思い入れがある人だけだと言えそう。
おっしゃるとおりだが、唯一貴重な教訓があるとすれば、「男なら、負けると分かっていても戦わなければならない時がある、鉄郎はそれを知っていた」というハーロックの台詞でしょう。なにもしないでそのまま死ぬ大人は悲しい。w