劇場公開日 1968年6月22日

斬る(1968)のレビュー・感想・評価

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5.0岡本喜八を堪能するための最高の一本

2021年5月19日
PCから投稿

軽妙と反骨という岡本喜八監督の持ち味が、おそらく最大限に発揮されたのがこの映画ではないか。先輩・黒澤明の『椿三十郎』と、プロットが双子のように似ているのは原作者が同じ山本周五郎で、設定が似通った短編小説を翻案しているからという理由が大きいが、同じ東宝のスタッフ&キャストによって、これほど似ていて、これほど違っている2作品ができてしまったことは非常に面白いし興味深い。

もっとも共通するのは、藩内の汚職に義憤を覚えた若侍たちが決起し、風来坊の浪人が助太刀するという設定。しかし、仲代達矢扮する主人公は、力むことなく、あくまでも飄々と、つかみどころがない風情で立ち回る。このモヤっとしているけれど実は切れ者という仲代達矢のキャラクターは、そのまま「パトレイバー」の後藤隊長のモデルになっているのだが、とにかく粋でカッコいい最高の仲代が見られることを保証する。

そして、小気味よい編集のテンポ、いきいち決まりまくる画のみごとさ、胸のすくような娯楽活劇に仕込まれた権力なんてくそくらえというヤンチャな反骨精神。喜八の最高傑作というと別の作品が挙がることは承知で、この映画が一番喜八らしくて、そして老若男女に勧められて、世界のどこに出しても絶対に面白い傑作だと断言したい。

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村山章

3.5【侍の愚かしさを自ら知り、侍を捨てた男を演じる仲代達矢が、飄々としながらある藩の諍いを解決する岡本喜八監督ならではの、武士の愚かしさや哀しさと、農民の逞しさを描いたマカロニウエスタン風時代活劇。】

2025年3月27日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

興奮

幸せ

■江戸末期。上州小此木藩では、その圧政と悪政に耐えかねた7人の武士が城代家老溝口を斬った。この機に藩政を手に入れようとするとする次席家老・鮎沢(神山繁)は、7人の武士を討つべく、すご腕の剣客・荒尾十郎太(岸田森)と半次郎(高橋悦史)たち30人の浪士を武士たちの潜む砦へと差し向ける。
 一方、全てを見抜く源太(仲代達矢)は、飄々とした態度ながら、鮎沢の企みを阻止しようとする。

◆感想

・いつもの、仲代達矢の役と違い今作の源太は、どこか飄々としている。彼は過去に武士の愚かさを知り、自ら武士を捨てているからである。

・だが、彼は神山繁演じる次席家老・鮎沢の企みを見破り、それを阻止しようとする。あくまでも飄々とした態度で・・。

<今作は、岡本喜八監督ならではの、武士の愚かしさや哀しさ(岸田森演じるすご腕の剣客・荒尾十郎太がそれである。)と、農民の逞しさを描いたマカロニウエスタン風時代活劇である。
 演じる役者さんの一部は、チビッ子だった頃に再再放送で観ていた、水戸黄門に出ていた人を少し覚えている。特に、当たり前だが東野英治郎と、悪い役を演じさせたら一番の神山繁かな。
 あとは、岸田森さんも良い味を出している。
 皆、昭和の名優である。>

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NOBU

4.0まじめでも悪どくもなく

2024年12月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

単純

興奮

軽妙なテンポで進む時代活劇。独立愚連隊のようにやっぱり悪いやつがいるのだが、それを全否定する勧善懲悪劇ではなく、それはそれとしてそれに立ち向かう者たちとも自分は違うという独特の立ち位置の主人公たち。そして最後は百姓遊女たちのお祭り騒ぎでまじめな奴らをあざ笑います。社会の上に立つまじめで時に悪どい人間たちがありつつも、自分はそうではないが一本貫く道がある人間と監督は言いたいのかなと思いました。

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FormosaMyu

4.0いいテンポ感

Jさん
2021年8月12日
iPhoneアプリから投稿

コメディチックな時代劇

シリアスな話のはずが途中クスッと
笑ってしまう場面やいくつもある

源太の軽妙さがまた良く映画の
テンポ感を作り上げている

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J

4.0(椿三十郎+用心棒)÷2×荒野の用心棒

2021年5月9日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

黒澤明の「用心棒」が1961年
それが1964年にセルジオ・レオーネ監督の「荒野の用心棒」になりマカロニウエスタンが生まれる
そして地球を一周して1968年の本作となる
愉快ではないか

実に楽しい娯楽映画だ!
なんとなく「椿三十郎」と「用心棒」を足して2で割って、「荒野の用心棒」で掛けると本作になるような案配だが、滅法面白いのだから文句はない

女郎屋や、終盤の庶民達のお祭りのドンチャン騒ぎは岡本喜八監督らしさが爆発している

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あき240

5.0私的殿堂時代劇

2015年4月29日
Androidアプリから投稿

楽しい

興奮

仲代達矢と高橋悦史の絡みが最高です。ゆったりと流れながら進む展開に、大胆に軽快に差し込まれるアップとショートカットが何ともいえず、佐藤勝の音楽と相俟って、あらゆる感情を刺激してくれる。コントラストが強い映像もかなりいい。
緊張感あふれる中、飄々とした仲代達矢の演技も最高です。そして緩いキャラである無宿者のヤクザ・兵頭弥源太が時として切れ味鋭くなる瞬間がたまらない。
何度見ても笑えて興奮させられる、最高の時代劇映画です。

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SH
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