「名手」斬る(1968) U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
名手
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Netflixにて鑑賞
飄々とした語り口調ながら、中身は存外硬派な代物。なのだが…見せ方が上手い。緩急というか、ギャップというか…軽快かつ重厚な作品だった。
おおよそ、話しの芯はブレないのだが、見せ場がふんだんに盛り込まれてる構成力は流石は名匠といった所か。その芯に絡めるサイドストーリーが魅力的ったらない。それを担うキャラ達に惹かれるのは勿論なのだが、台詞といいアングルといい…当時としては斬新だったのではないかと思う。いや、現代においてもそうそうお目にかかれるモノでもないような気もする。物語を追っかけつつも人の描写を蔑ろにしないという奇跡的なバランス感覚に溢れてる。
まるで沼にハマっていくかのように引き込まれてた。
仲代さんのキャラというか、仲代さんと高橋さんの掛け合いのせいもあるのだが、コメディ色も強いのだ。なのだけれど、そっちに傾きはしない。中村さんと神山さんがしっかり堰き止めてはいるのだけれど、ココに仲代さんが絡んできても全く違和感がない。
その違和感を抱かせない設定であり、演技の質というか色というか…締めどころをわきまえた演出というか。
いやあ…見事だった。
今の時代劇とは違うというか、昔は色んな角度からの作品があったのだなあと感慨深い。
殺陣は迫力はあったけれど、結構雑で…なのだが、コレもまたバリエーションと思えば享受はできる。
「斬る」との題名ではあるけれど、物語をダイレクトに表してる風ではないので、きっと何かに絡めたものなのだろう。
奇才・岡本喜八の世界はとても居心地が良かった。
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