斬る(1968)のレビュー・感想・評価
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岡本喜八を堪能するための最高の一本
軽妙と反骨という岡本喜八監督の持ち味が、おそらく最大限に発揮されたのがこの映画ではないか。先輩・黒澤明の『椿三十郎』と、プロットが双子のように似ているのは原作者が同じ山本周五郎で、設定が似通った短編小説を翻案しているからという理由が大きいが、同じ東宝のスタッフ&キャストによって、これほど似ていて、これほど違っている2作品ができてしまったことは非常に面白いし興味深い。
もっとも共通するのは、藩内の汚職に義憤を覚えた若侍たちが決起し、風来坊の浪人が助太刀するという設定。しかし、仲代達矢扮する主人公は、力むことなく、あくまでも飄々と、つかみどころがない風情で立ち回る。このモヤっとしているけれど実は切れ者という仲代達矢のキャラクターは、そのまま「パトレイバー」の後藤隊長のモデルになっているのだが、とにかく粋でカッコいい最高の仲代が見られることを保証する。
そして、小気味よい編集のテンポ、いきいち決まりまくる画のみごとさ、胸のすくような娯楽活劇に仕込まれた権力なんてくそくらえというヤンチャな反骨精神。喜八の最高傑作というと別の作品が挙がることは承知で、この映画が一番喜八らしくて、そして老若男女に勧められて、世界のどこに出しても絶対に面白い傑作だと断言したい。
まじめでも悪どくもなく
軽妙なテンポで進む時代活劇。独立愚連隊のようにやっぱり悪いやつがいるのだが、それを全否定する勧善懲悪劇ではなく、それはそれとしてそれに立ち向かう者たちとも自分は違うという独特の立ち位置の主人公たち。そして最後は百姓遊女たちのお祭り騒ぎでまじめな奴らをあざ笑います。社会の上に立つまじめで時に悪どい人間たちがありつつも、自分はそうではないが一本貫く道がある人間と監督は言いたいのかなと思いました。
斬る!BILL。
親父が見ていた。
なんとなく覚えている。
やっぱり、カッコいい!
KILL!ビル。
DJANGO!アイ ヤマトソロレ・・・
終
雨の中
タランティーノ監督の気持わかるな♥
ここでは
セルジオ・レオーネ?
セルジオ・コルブッチさ!
名手
Netflixにて鑑賞
飄々とした語り口調ながら、中身は存外硬派な代物。なのだが…見せ方が上手い。緩急というか、ギャップというか…軽快かつ重厚な作品だった。
おおよそ、話しの芯はブレないのだが、見せ場がふんだんに盛り込まれてる構成力は流石は名匠といった所か。その芯に絡めるサイドストーリーが魅力的ったらない。それを担うキャラ達に惹かれるのは勿論なのだが、台詞といいアングルといい…当時としては斬新だったのではないかと思う。いや、現代においてもそうそうお目にかかれるモノでもないような気もする。物語を追っかけつつも人の描写を蔑ろにしないという奇跡的なバランス感覚に溢れてる。
まるで沼にハマっていくかのように引き込まれてた。
仲代さんのキャラというか、仲代さんと高橋さんの掛け合いのせいもあるのだが、コメディ色も強いのだ。なのだけれど、そっちに傾きはしない。中村さんと神山さんがしっかり堰き止めてはいるのだけれど、ココに仲代さんが絡んできても全く違和感がない。
その違和感を抱かせない設定であり、演技の質というか色というか…締めどころをわきまえた演出というか。
いやあ…見事だった。
今の時代劇とは違うというか、昔は色んな角度からの作品があったのだなあと感慨深い。
殺陣は迫力はあったけれど、結構雑で…なのだが、コレもまたバリエーションと思えば享受はできる。
「斬る」との題名ではあるけれど、物語をダイレクトに表してる風ではないので、きっと何かに絡めたものなのだろう。
奇才・岡本喜八の世界はとても居心地が良かった。
(椿三十郎+用心棒)÷2×荒野の用心棒
黒澤明の「用心棒」が1961年
それが1964年にセルジオ・レオーネ監督の「荒野の用心棒」になりマカロニウエスタンが生まれる
そして地球を一周して1968年の本作となる
愉快ではないか
実に楽しい娯楽映画だ!
なんとなく「椿三十郎」と「用心棒」を足して2で割って、「荒野の用心棒」で掛けると本作になるような案配だが、滅法面白いのだから文句はない
女郎屋や、終盤の庶民達のお祭りのドンチャン騒ぎは岡本喜八監督らしさが爆発している
マカロニウェスタン
圧政を繰り返してきた城代家老を斬った笈川哲太郎(中村)をはじめとする青年武士たち。どことなく『椿三十郎』の展開と似ている。
半次郎は、城代家老が斬られたことで権力を手にすることになった鮎沢多宮(神山繁)の浪人募集により雇われることとなった。鮎沢は青年武士たちをけしかけたような存在だったが、実は決断するまでは至ってない。やがて、七人は松尾新六(土屋嘉男)を江戸に立たせて殿さまに直訴し、残りは砦に立て篭もり返事を待つという作戦に出た。そこへ、反旗を翻したかのように鮎沢が砦に討っ手を放ち、集めた浪人たちをさらに斬らせる目的で向かわせた。とにかく譜代の隣藩に知られてはならない。穏便にことを済ませ、謀反人たちを死闘の末死んでしまったことにしようとしたのだ。
源太は2年前に他の藩で起こった事件を経験しており、全く同じ事件だったため、哲太郎に協力しようとする。侍なんてろくなものじゃないことを強調し、血気盛んな力持ちの半次郎を上手く利用する。登場人物では浪人たちの組長(岸田森)の悲恋や、哲太郎の婚約者(星由里子)などのエピソードもあり、ちょっと詰め込み過ぎ感もあるが、“斬る”というテーマで侍社会の窮屈で嫌な世界であることを訴えてくる。
音楽がマカロニウェスタン風でもあり、コミカルなシーン満載なのもいい。特に、力持ちのため女郎屋の柱を持ち上げた半次郎が翌朝には力が出なかったところとか・・・(笑)
私的殿堂時代劇
仲代達矢と高橋悦史の絡みが最高です。ゆったりと流れながら進む展開に、大胆に軽快に差し込まれるアップとショートカットが何ともいえず、佐藤勝の音楽と相俟って、あらゆる感情を刺激してくれる。コントラストが強い映像もかなりいい。
緊張感あふれる中、飄々とした仲代達矢の演技も最高です。そして緩いキャラである無宿者のヤクザ・兵頭弥源太が時として切れ味鋭くなる瞬間がたまらない。
何度見ても笑えて興奮させられる、最高の時代劇映画です。
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