「荒々しい海の映像を使わなかったのは、わざと?!」魚影の群れ TRINITY:The Righthanded Devilさんの映画レビュー(感想・評価)
荒々しい海の映像を使わなかったのは、わざと?!
吉村昭の同名小説の映画化。監督は『セーラー服と機関銃』(1981)などのアイドル映画で知られる相米慎二。
同監督の作品を見るのは、たぶん初めて。
アイドル映画といわれることが監督は不本意だったそうだが、今回も当時人気のあった漫才コンビや噺家を使うなど、時流に適わせた作風が特徴なのだろうか。
クローズアップをほとんど使わない手法には違和感を感じるし、ゆるゆるのテグスで俊一が大流血するなどツッコミどころも。下北弁のセリフが字幕付けて欲しいぐらい分かりにくいなど、難点も多い作品。
漁師の厳しさを思い知らせる海の映像を多用してもいいのではと思いながら見ていたが、淡白な展開が却ってラストシーンで胸を打つ。
緒形拳と十朱幸代に若手二人(夏目雅子と佐藤浩市)以外、めぼしい役者がほとんど出ていない本作。
エンドロールに寺田農の名前があるけど、出演シーンはすべてカット。
十朱幸代(アヤ)の愛人を演じた矢崎滋は2003年に阪神タイガースの優勝を見るために仕事をすべてキャンセルしたことが話題になったが、最近あまり見かけない。
一昨年のアレには立ち会えたんだろうか。
相米監督と同じく病で早世したアンリ菅野の主題歌(原田芳雄との共演)に時代を感じる。
BS松竹東急にて初視聴。
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2025年4月17日
初めまして。独特のレビューや作品選びに惹かれてコメントしようと思いました。自分は相米慎二や、角川映画全盛期の澤井信一郎の引いた画作りがとても好きですし、相米らしさとも言える若い女優への厳しい演出のファンでもあります。ぜひ無茶苦茶な「ションベン・ライダー」の感想も伺いたいです❢