劇場公開日 1984年6月23日

「焦点は真面目そうな主人公が逆噴射した無茶苦茶さを撮る事に当たっていて、逆噴射に至る主人公や、家族それぞれの心理や関係性、日本人の家族の変容というものを描こうという姿勢はほとんど皆無です」逆噴射家族 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5焦点は真面目そうな主人公が逆噴射した無茶苦茶さを撮る事に当たっていて、逆噴射に至る主人公や、家族それぞれの心理や関係性、日本人の家族の変容というものを描こうという姿勢はほとんど皆無です

2025年7月9日
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逆噴射家族
1984年6月23日公開 製作配給ATG
1980年の狂い咲きサンダーロードで知られる石井聰亙監督の商業映画初監督作品
原作は小林よしのりとあるが、漫画原作があるわけでありません
本作公開当時はまだ彼は駆け出しで東京に出て来たばかりの頃です

一体何の映画なんだろう?
そりゃ家族の崩壊に決まっています
冒頭の高速道路沿いの団地と建て売り住宅街はどうも新浦安辺りのようにみえます
東京ディズニーランドの隣町です
そこは本作公開の1年前に開園したばかりでした
京葉線はまだ出来ていません
劇中、主人公は家から自転車で駅に向かい、千代田線で都心の会社まで通うシーンがありますが東西線ではないのは?大して意味ないでしょう
単に東京郊外の新興住宅街という説明であり、毎日通勤するだけで疲れ果てるところでやっと家が持てるのだという説明です
21世紀の私達からみるととても都心から近くで、大きな立派な建て売りです
狭い団地住まいで数年資金を貯めて普通の会社員が購入できていたそんな幸せな時代があったのです
それでも主人公はそんな生活に耐えられずに逆噴射を起こします
きっかけは父親がその家に押しかけて来て部屋が足らなくなったことに過ぎません
まだバブルの数年前、幸せを求めて仕事にも、家庭にも、夫婦にも、子供にももっと上を求めて頑張りすぎて精神の歪みの内圧を高めて爆発する出口を探し求めていたということだったのかも知れません
家逆噴射の末家が崩壊して、建物が無くなった時、家族はまたもと通りになっていたのです

しかし、焦点は真面目そうな主人公が逆噴射した無茶苦茶さを撮る事に当たっていて、逆噴射に至る主人公や、家族それぞれの心理や関係性、日本人の家族の変容というものを描こうという姿勢はほとんど皆無です

「家族ゲーム」は本作の1年前の1983年6月4日公開の日本映画史に残る傑作
製作にっかつ配給ATG
本作はその足元にも及びませんでした

小林克也は俳優ではなく、ラジオのDJ
当時のDJは 今のDJ とは違い、単にラジオパーソナリティ程度のこと
ただ彼は英語力がネイティブのように本格的であり、米軍放送のラジオ番組のスタイルを真似たもので洋楽ヒット曲の番組を特にFM 局でいくつも持っていて70年代から一部で人気がありました
80年にはYMOという世界的な人気があったバンドのアルバムに彼の番組を模した物が収録され、全国に名前が売れ、さらに81年からベストヒットUSA という洋楽のミュージックビデオを流す番組の人気司会者として顔が売れました
カッコイい英語と日本人そのもののルックスのギャップにびっくりしたものでした
つまり、旬のタレントだったのです
本作では彼の英語力は披露されません、真面目そうなルックスを買われたのでしょう

あき240
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