逆噴射家族のレビュー・感想・評価
全7件を表示
集団ヒステリー
これもまたATG配給らしい尖りまくった作品である
"逆噴射家族というタイトルは、この映画の公開された2年前に起きた「日本航空羽田沖墜落事故」に由来する。この事故の原因が、統合失調症の機長による逆噴射機構の作動によるものであり、その単語がその後世間に広まり、一時期流行したことに起因する"とはwikiから転載であるが、確かに『逆噴射機長』という今の基準では不謹慎極まりないキャッチフレーズが流行ったのだ
そこからのアイデアを着想としての今作なのだが、確かにパラノイアの匂いがプンプンする仕上がりである それは主人公の会社員だけではなく、会社員が被害妄想を抱くような家族達それぞれの主体感と自由度に、その乖離が拗らせていく過程を観ていく地獄への招待として興味深い
所々に何かズレている家族それぞれの描写は、個人的には距離を置く小林よしのりならではの緻密さが炸裂しているストーリーになっているのは称賛したい
具体的に言えば、妻の斜め向こうの行動→生贄としての本人を自己溺愛 息子→陰謀論に毒される主体性の無い人物 娘→自身のロリ素養を自覚せずその無頓着な自由行為に対する無防御 祖父→忘れられず戦争体験に沈殿する悲哀
家族のためにと自分の存在価値をも投げ打つ主人公が、その報われない生活の中で、「シロアリ」という単純なメタファに心を蝕む様子は、自分のような不真面目な人間には窺い知れない心の闇が否応なく垣間見れる
ラストの高速道路下の生活は、勿論、ある種のハッピーエンドだろうとは思うのだが、ファンタジーとしての着地点は、今の視点では疑問も無いわけではない・・・が、ま、ではそれ以外に何があるかと言えば、あのシロアリ駆除剤での無理心中で全員死亡というフラグしかないわけで・・・・ どっちにしても、今昔残酷物語は、これからも続くんだろうねぇ・・・(泣
今観ると、工藤夕貴のしたたかさと天才さに、舌を巻く演技であった
工藤夕貴が可愛いだけかと思ったら・・・
都会の団地生活から郊外の新興住宅地へ一軒家を購入し引越した、小林勝国(小林克己)、妻(倍賞美津子)、息子(有薗芳記)、娘(工藤夕貴)の一家4人が、希望に夢を膨らましていた。 そこへ、兄夫婦の所を追い出された勝国の父(植木等)が舞い込んできだことにより家族がギクシャクしだす話。 単に頭のイカレタ家族が地下室を作ると居間の下を掘り出したり、狂ったように殺し合いを始める話かと思って観賞を終えたが、どうも違うようだ。 観賞後に奥の深い話を横山アナの解説で聞ける事になった。 今では作れない様な内容が含まれてる作品らしく、無許可で列車の中を走る姿を撮影されてたり、キチ○イは放送禁止用語だったり、建物を壊す事が家族のキズナに繋がったのでは、とか、なかなか深い意図がある作品なんだとわかった。 また、この作品には現在の大御所がたくさん参加されてるらしく、小林監督が若手を育てたという事でも意味のある作品らしい。 こんな37年も前のフィルム作品を劇場で観賞出来るなんて貴重な経験で、ヨコゲキ(天才ヨコヤマの名画鑑賞会)に感謝です。 監督、主演、脚本と小林だらけだったのは偶然なのかな?
キ○ガイ一家
植木等演じる爺さんが悩みのタネだった筈が、話は脱線しマクり家族で殺し合いから自宅を壊し合い、周りが崩壊、家族の生活は続く。 伝えたい事や意味があるのだろうが難しい事はサッパリだし、工藤夕貴は子役からハードル高い演技と役柄で感心してしまう。 一軒家が総崩れ、地味に迫力ある映像!?
理想のイケボお父さん。優しいし家族思い。 前半は楽しい可愛いハッピ...
理想のイケボお父さん。優しいし家族思い。 前半は楽しい可愛いハッピーマイホーム物語。 エリカとお爺ちゃんの寿司トレードに爆笑した。お爺ちゃん同居の為に床をブチ抜いて地下室を作る父さん。家族の為に大奮闘するが逆に家族崩壊に向かってしまう。 後半は家族全員狂気のバトル。白アリ殺虫剤でみんなで死のうから急に悪魔展開。くるくる病院いけ、ガイキチ野郎とお互いに精神病と罵り合いはじまるくらいからダメになっていった。 戦いはじまる直前までは最高に面白かった。
突き抜ける真面目さ、ぶっとんだ面白さ
これはぶっとんだ作品!3回目観た。小林よしのりが脚本担当しているからかおもしろく、ぶっとびすぎて笑ってしまうほど。 マイホームの一軒家を手に入れた父親、その妻、息子、娘の4人家族が新居に移り住む。それぞれ独特の個性の持ち主だが微妙なバランスをとって平穏に暮らしていたが、これまた個性的な祖父が同居することになってから均衡が崩れ、個性がむき出しになる。 父親は家族全員が現代病だと思い込み、妻らは逆に夫や父親が病気だと思う。 やがて、狂気は暴走して家族間の戦いにもつれこみ、武装して戦う。戦いの最中、マイホームは崩れて、河川敷の暮らしから再生する。家族関係で誰にでもあるような内面の狂気をあぶりだした傑作!
小林よしのり
ゴー宣を読んでると、小林よしのりの政治的主張をエンタメの求心力に載せる技量が恐ろしいほどわかるけど、実写映画でもこんな面白い脚本書くんだなって驚いた。要は、人の動物的な衝動に理性的な主張を載せるとなんでも文芸味を帯びてくるよ、っていうことかもしれないけど。
.
自宅(CS放送)にて鑑賞。原案と共同脚本に小林よしのり、プロデューサー高橋伴明、共同製作長谷川和彦、監督石井聰亙と錚々たるメンツ。制作された'84年は核家族と云う言葉が出始めコレを具現化する一見平凡乍ら個性的な家族が描かれる。父“小林勝国”の小林克也、滑舌良く怪演が光る。祖父“寿国”の植木等は至って自然体。娘“エリカ”の工藤夕貴は懸命さが伝わる演技。だが誇張された過剰な描写は余り楽しめず、家屋倒壊シーンもハリボテっぽくリアルに感じられない。この内容でATGが製作と云うのもかなりユニーク。50/100点。
・鑑賞日:2011年10月10日(月・体育の日)
全7件を表示