逆噴射家族のレビュー・感想・評価
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焦点は真面目そうな主人公が逆噴射した無茶苦茶さを撮る事に当たっていて、逆噴射に至る主人公や、家族それぞれの心理や関係性、日本人の家族の変容というものを描こうという姿勢はほとんど皆無です
逆噴射家族
1984年6月23日公開 製作配給ATG
1980年の狂い咲きサンダーロードで知られる石井聰亙監督の商業映画初監督作品
原作は小林よしのりとあるが、漫画原作があるわけでありません
本作公開当時はまだ彼は駆け出しで東京に出て来たばかりの頃です
一体何の映画なんだろう?
そりゃ家族の崩壊に決まっています
冒頭の高速道路沿いの団地と建て売り住宅街はどうも新浦安辺りのようにみえます
東京ディズニーランドの隣町です
そこは本作公開の1年前に開園したばかりでした
京葉線はまだ出来ていません
劇中、主人公は家から自転車で駅に向かい、千代田線で都心の会社まで通うシーンがありますが東西線ではないのは?大して意味ないでしょう
単に東京郊外の新興住宅街という説明であり、毎日通勤するだけで疲れ果てるところでやっと家が持てるのだという説明です
21世紀の私達からみるととても都心から近くで、大きな立派な建て売りです
狭い団地住まいで数年資金を貯めて普通の会社員が購入できていたそんな幸せな時代があったのです
それでも主人公はそんな生活に耐えられずに逆噴射を起こします
きっかけは父親がその家に押しかけて来て部屋が足らなくなったことに過ぎません
まだバブルの数年前、幸せを求めて仕事にも、家庭にも、夫婦にも、子供にももっと上を求めて頑張りすぎて精神の歪みの内圧を高めて爆発する出口を探し求めていたということだったのかも知れません
家逆噴射の末家が崩壊して、建物が無くなった時、家族はまたもと通りになっていたのです
しかし、焦点は真面目そうな主人公が逆噴射した無茶苦茶さを撮る事に当たっていて、逆噴射に至る主人公や、家族それぞれの心理や関係性、日本人の家族の変容というものを描こうという姿勢はほとんど皆無です
「家族ゲーム」は本作の1年前の1983年6月4日公開の日本映画史に残る傑作
製作にっかつ配給ATG
本作はその足元にも及びませんでした
小林克也は俳優ではなく、ラジオのDJ
当時のDJは 今のDJ とは違い、単にラジオパーソナリティ程度のこと
ただ彼は英語力がネイティブのように本格的であり、米軍放送のラジオ番組のスタイルを真似たもので洋楽ヒット曲の番組を特にFM 局でいくつも持っていて70年代から一部で人気がありました
80年にはYMOという世界的な人気があったバンドのアルバムに彼の番組を模した物が収録され、全国に名前が売れ、さらに81年からベストヒットUSA という洋楽のミュージックビデオを流す番組の人気司会者として顔が売れました
カッコイい英語と日本人そのもののルックスのギャップにびっくりしたものでした
つまり、旬のタレントだったのです
本作では彼の英語力は披露されません、真面目そうなルックスを買われたのでしょう
家庭内紛争
ファミリープラン。
集団ヒステリー
これもまたATG配給らしい尖りまくった作品である
"逆噴射家族というタイトルは、この映画の公開された2年前に起きた「日本航空羽田沖墜落事故」に由来する。この事故の原因が、統合失調症の機長による逆噴射機構の作動によるものであり、その単語がその後世間に広まり、一時期流行したことに起因する"とはwikiから転載であるが、確かに『逆噴射機長』という今の基準では不謹慎極まりないキャッチフレーズが流行ったのだ
そこからのアイデアを着想としての今作なのだが、確かにパラノイアの匂いがプンプンする仕上がりである それは主人公の会社員だけではなく、会社員が被害妄想を抱くような家族達それぞれの主体感と自由度に、その乖離が拗らせていく過程を観ていく地獄への招待として興味深い
所々に何かズレている家族それぞれの描写は、個人的には距離を置く小林よしのりならではの緻密さが炸裂しているストーリーになっているのは称賛したい
具体的に言えば、妻の斜め向こうの行動→生贄としての本人を自己溺愛 息子→陰謀論に毒される主体性の無い人物 娘→自身のロリ素養を自覚せずその無頓着な自由行為に対する無防御 祖父→忘れられず戦争体験に沈殿する悲哀
家族のためにと自分の存在価値をも投げ打つ主人公が、その報われない生活の中で、「シロアリ」という単純なメタファに心を蝕む様子は、自分のような不真面目な人間には窺い知れない心の闇が否応なく垣間見れる
ラストの高速道路下の生活は、勿論、ある種のハッピーエンドだろうとは思うのだが、ファンタジーとしての着地点は、今の視点では疑問も無いわけではない・・・が、ま、ではそれ以外に何があるかと言えば、あのシロアリ駆除剤での無理心中で全員死亡というフラグしかないわけで・・・・ どっちにしても、今昔残酷物語は、これからも続くんだろうねぇ・・・(泣
今観ると、工藤夕貴のしたたかさと天才さに、舌を巻く演技であった
工藤夕貴が可愛いだけかと思ったら・・・
都会の団地生活から郊外の新興住宅地へ一軒家を購入し引越した、小林勝国(小林克己)、妻(倍賞美津子)、息子(有薗芳記)、娘(工藤夕貴)の一家4人が、希望に夢を膨らましていた。
そこへ、兄夫婦の所を追い出された勝国の父(植木等)が舞い込んできだことにより家族がギクシャクしだす話。
単に頭のイカレタ家族が地下室を作ると居間の下を掘り出したり、狂ったように殺し合いを始める話かと思って観賞を終えたが、どうも違うようだ。
観賞後に奥の深い話を横山アナの解説で聞ける事になった。
今では作れない様な内容が含まれてる作品らしく、無許可で列車の中を走る姿を撮影されてたり、キチ○イは放送禁止用語だったり、建物を壊す事が家族のキズナに繋がったのでは、とか、なかなか深い意図がある作品なんだとわかった。
また、この作品には現在の大御所がたくさん参加されてるらしく、小林監督が若手を育てたという事でも意味のある作品らしい。
こんな37年も前のフィルム作品を劇場で観賞出来るなんて貴重な経験で、ヨコゲキ(天才ヨコヤマの名画鑑賞会)に感謝です。
監督、主演、脚本と小林だらけだったのは偶然なのかな?
キ○ガイ一家
理想のイケボお父さん。優しいし家族思い。 前半は楽しい可愛いハッピ...
理想のイケボお父さん。優しいし家族思い。
前半は楽しい可愛いハッピーマイホーム物語。
エリカとお爺ちゃんの寿司トレードに爆笑した。お爺ちゃん同居の為に床をブチ抜いて地下室を作る父さん。家族の為に大奮闘するが逆に家族崩壊に向かってしまう。
後半は家族全員狂気のバトル。白アリ殺虫剤でみんなで死のうから急に悪魔展開。くるくる病院いけ、ガイキチ野郎とお互いに精神病と罵り合いはじまるくらいからダメになっていった。
戦いはじまる直前までは最高に面白かった。
突き抜ける真面目さ、ぶっとんだ面白さ
小林よしのり
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自宅(CS放送)にて鑑賞。原案と共同脚本に小林よしのり、プロデューサー高橋伴明、共同製作長谷川和彦、監督石井聰亙と錚々たるメンツ。制作された'84年は核家族と云う言葉が出始めコレを具現化する一見平凡乍ら個性的な家族が描かれる。父“小林勝国”の小林克也、滑舌良く怪演が光る。祖父“寿国”の植木等は至って自然体。娘“エリカ”の工藤夕貴は懸命さが伝わる演技。だが誇張された過剰な描写は余り楽しめず、家屋倒壊シーンもハリボテっぽくリアルに感じられない。この内容でATGが製作と云うのもかなりユニーク。50/100点。
・鑑賞日:2011年10月10日(月・体育の日)
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