「172分という長尺」紀ノ川 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
172分という長尺
九度山から川下の真谷家に嫁いだ花(司)。長男の敬策(田村)は東京の大学を出てすぐに村長になったという。これも旧家のなせる業なのか。舅・姑のイジメにでも遭うのかと思っていたら、かなり大切に扱われ、琴を弾いたり、自由気ままな生活のようだ。冒頭の紀ノ川を舞台にした嫁入りのシーンは大画面で観たくなるほど壮観かつ幻想的。まるで日本版アンゲロプロスだ。
次男は浩策(丹波哲郎)だ。嫁をもらいたいが、花に好意を持っていて、やがて分家させられるということに長男に嫉妬しているような雰囲気。数年後、花の長男が4歳になった頃、日露戦争が始まり、次男以下は戦争に駆り出されることに不安を感じる。財産分与に関してひねくれた態度も取ったりする。
時は流れて大正10年。敬策は県会議員になっており、長女の文緒(岩下)は女学校のリーダー格になっていた。花は文緒に対する教育もままならず、やきもきするばかり。浩策とも仲が悪くなり、文緒は叔父になついていた。
女の一生を川に喩えた大河ドラマ。172分という長尺もしょうがないけど、映画ではかなりの部分がカットされていると気になってしまう。もちろん司葉子演ずる花がいいのだが、ストーリーの中心となる一人の政治家の辿る道が平均的な日本の政治家を表現していて、それに反する娘の文緒と弟の浩策の考え方もまた対比させていて面白いのだ。まぁ、田舎出身の政治家なんてこんなものだ。
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