「「何もしない神様」」機動警察パトレイバー2 the Movie マスゾーさんの映画レビュー(感想・評価)
「何もしない神様」
PKO
(Peace Keeping Organisations)
国連の平和維持活動
紛争地帯での監視行動や難民救済
復興活動のこと
日本は湾岸戦争でのアメリカ軍の
後方支援を契機に1992年に
国際平和協力法を制定し
自衛隊を派遣するようになった
国軍ではない自衛隊の活動内容は
紛争の火種にならない事を目的と
するPKOに合致しているのは
確かだがいざ戦闘に巻き込まれた
際の応戦の程度など
外務省と防衛相で見解が異なる
現実が未だに尾を引いている
という近未来ながらこうした
タイムリーなテーマを扱って
1993年に公開されカルト的な
大ヒットを遂げた
機動警察パトレイバーの劇場版二作目
一作目は「ロボットアニメ」然とした
展開でこれはこれで非常に完成度が高く
よくリバイバル上映されている印象だが
こちらはスクリーンで観る機会がなかなか
無かったのはテーマ的なところ
だったのだろうか
今回の機会にと観賞
やっぱ面白かったし
意地でもロボットアニメにしない
パトレイバーの活躍なんか
描いてやらないという押井守の
ひねくれが生み出した奇跡だと
思っている
PKO派遣で全く反撃できない
まま部下を見殺しにされ
現場を知らない上層部・日本に
復讐する柘植行人
ベイブリッジ破壊を狼煙に
疑心暗鬼になった
警察と自衛隊の対立が始まる
今考えるとあのベイブリッジの破壊
国際協力を渋る日本政府への
米国の急進派が脅しでやる
つもりだったのが座標を
書き換えられ本気で発射
されてしまったとか
常時自己診断もしている
自衛隊のバッジシステムを
ハッキングとか
柘植さんそんなトンデモ技術
どこで手にしたんだと思って
しまうところだが(笑)
そんな柘植との関係性によって
エリートだったのに特車二課に
左遷されたという設定を与えられて
しまった南雲さん
だいぶTVシリーズと異なる印象に
なってしまった点は
CVの榊原良子さんも困惑したとか
でも後藤さんとの大人な
やりとりもこの作品の魅力に
なっている
今起こっている戦争に
したり顔で意見する
遠くの遠くのネット・TVの人々
ってのに押井さんは強烈な
アンチテーゼがあったのだろう
この映画の公開から28年経って
今ウクライナの戦闘はドローンや
無人機が飛び交い
ハッキングなどサイバー攻撃の
応酬が行われている
本当にパトレイバーの世界と
変わらなくなっている
でもネットを通じて
我々がやってることは
変わってない
「何もしない神様」
のままである
若い人にもぜひ観てほしい
一作である