「日本は幻想からいまだに醒めてない」機動警察パトレイバー2 the Movie 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
日本は幻想からいまだに醒めてない
この映画の公開が90年代前半で、PKOで自衛隊が死ぬところから物語が始まるわけだが、当時のアニメ映画は、現実の社会問題をそんなにダイレクトに反映していたのだと、改めて見直して驚いた。ちょうどPKO派遣問題と憲法解釈問題が大きく議論されていた時期にその議論のど真ん中を行くような内容だ。
日本の戦後の反映は結局アメリカの核の傘のおかげで、世界にある戦争の現実に向き合わずにすんだから達成されたにすぎない。そして、そんな他国の犠牲の上に成り立っているという見立ては強烈に鋭い。この映画の公開から随分月日はたったが、いまだにこの国は世界の現実に向き合うことができていないのではないかと思う。この映画の問題提起は2021年現在も十分に通用するものだ。
映像の完成度も極めて高い。一枚絵で部屋に飾りたくなる美しいショットがたくさんあって見惚れる。
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せこっちさんのコメント
2021年2月28日
ものすごく巧みに1993年当時の日本の状況を取り込んだ作劇が、2021年にまた見事にあぶり出される‼️
同時にアニメーションと言う次元を越えた映像作りは映し出される空気感を孕み、実写に負けない深みを作り出した。
「サイレント・トーキョー」との類似性を指摘する声も多いが、制約多い2次元表現をここまで高めた押井守×伊藤和明×川井憲次の素晴らしい仕事をぜひぜひご堪能あれ‼️
ドラマとしても南雲×後藤×柘植の精神的三角関係が架空の18号地で集約される流れが本当に素晴らしいと感じた✨
ULTIMA RATIO→飛行船に書かれたこのメッセージを今こそ日本の人たちには受け止めてほしい‼️