劇場公開日 1978年10月7日

鬼畜のレビュー・感想・評価

全31件中、1~20件目を表示

3.5虐待の様子がリアル

2025年6月30日
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鑑賞方法:VOD

知的

驚く

 妻役岩下志麻の虐待シーンは見事であり、夫役緒形拳が妻の圧力に気押されて子供達を「始末」するという最悪の選択をする流れが違和感なく描かれている。

 名優の素晴らしい演技が楽しめる一方で、子役のセリフが棒読みなのが残念極まりない。エンディングで父親を否定する際の長男役の表情はとても良いのだが、そこに至るまでのシーンでのセリフが酷すぎた。

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クネーゴ

4.0隠し子三人を伴って突如現れた愛人

2025年6月4日
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原作は松本清張の1957年作の短編小説。

宗吉(緒方拳)は女中の菊代(小川真由美)と懇ろになり不倫の末、三人の子供をつくるが養育費を払えなくなると、菊代は宗吉の本妻のお梅(岩下志麻)の前に現れ、子供らを残して出奔する。
子供らはお梅の目の敵にされ、宗吉に始末するようけしかけるなか、弟は病死、妹は行方不明となり、兄も命を狙われる。

IMDBの野村芳太郎には79個の監督作品があったが点がついていたのは23個で、いちばん得点が高いのがこの鬼畜、二番目が砂の器、三番目が疑惑。すべて松本清張作品であり、それ以下も松本清張と組んだ「霧プロ」作品が並んでいた。
鬼畜は野村芳太郎の代表作といえる。

鬼畜がよかったのは職人型の野村芳太郎が監督したからだと思う。子殺し願望をもった正に鬼畜な夫婦の話なので、鬼才型が監督すると監督の自我が絵に乗ってくる。
日本映画において、非道な話に鬼才の自我が乗ってくると園子温や蜷川実花に代表されるようなこけおどしなバイオレンスができあがる。

鬼才とは映画制作よりも自身の箔付け、功名や映画祭受賞を目的とした監督のことを言い、日本映画界は鬼才だらけなので、もはや日本映画の特徴と言える。
鬼才監督は非道だったり衝撃的だったりする題材をもってきて箔付けにつかうのが常套手段なので、鬼畜は願ったり適ったりなストーリーといえる。
しかし職人型監督野村芳太郎によって淡々と描かれた結果、鬼畜は野村芳太郎の代表作になった。

概して野村芳太郎の映画からは、野村芳太郎の個は見えず、たんに松本清張原作の映画を見たという感じになる。味付けをしないこと、そこに職人型の価値がある。

とはいえ映画鬼畜は1978年の作品なので、現代日本映画と比較するのは無理がある。
そもそも昔の映画を見ていると10分に一回あるいはそれ以上の頻度で「今ならコンプラ的にぜったい無理だろう」という描写が出てくる。
ひるがえって我々が生きている現代というのは、現実にあることを「いやそんなことはありませんよ」と、そらとぼける時代と言っていい。

つまり現代社会に生きるわれわれというのは謂わば一億が芽郁の気分であって、じっさいに男とっかえひっかえの不倫やっていてもぜんぶ誤解だと言ってしまえる厚顔で生きていると言っていい。それを評してしばしば彼女はメンタルが強いと言われるが、メンタルが強いわけじゃない。単に彼女のやったことがコンプラ的に無理なだけで、あるいは彼女のやったことが単に放送コードの限界を超えているというだけのことで「いやそんなことはありませんよ」と、そらとぼける以外に彼女に手段はなかったのだ。

その芽郁の気分と、現代社会のコンプラというものが同質なので、わたしたちは現実に有り得ることを「いやそんなことはありませんよ」と、そらとぼけながら生きている。と言いたかったわけである。
スマホもインターネットもない昭和では誰かに連絡をとるにしたって出向いて行くか家に一台ある据え置き電話に電話するか手紙に頼る他に手段はない。そんなだから隠し子が発覚するにしたって菊代がいきなり三人の子供をつれて宗吉の家にやってくるわけだ。現代はそんな怒濤の修羅にはならないが、ならないかわりにLINEのトーク履歴が発覚して相思相愛すぎだよねとか言っておきながら、そんな事実はないと、そらとぼけるしかない。
言ってみれば昔とは比べようがないほど不正直な時代である。とは言える。
一億総民がコンプラや体裁のために、そらとぼけながら生きている、と言っていい。
したがって現代では、愛人が突然隠し子三人を伴って会いにやってくることはなくても、その代わりSNSで拡散され、あとからもっと大きな負債や罰が降りかかってくる、という感じだろうか。

これと翌年の今村昌平による復讐するは我にありによって、緒方拳は演技派かつギラギラした男の代表格のようになった。岩下志麻はきれいすぎる汚れ役だった。緒方拳岩下志麻小川真由美のほかにも、蟹江敬三大滝秀治田中邦衛大竹しのぶ、濃く懐かしい顔ぶれがあった。

みんな汗しており暑さがよく描出されている映画だった。IMDB7.4。

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津次郎

4.0小川真由美こそ国宝かよ

2025年5月12日
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鑑賞方法:映画館

小川真由美は国宝だったんだなと。緒形拳ももちろん凄いんだけど、畳み掛ける表情・声色・心情変化のジャストっぷりはさながらF1レーサーのよう。コンビ作品として福祉するは我にありと、どっちが先でしたっけ。

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満天

4.0【”我が子に親である事を否定された男。”今作は野村芳太郎監督が急増する子への虐待に警鐘を鳴らし”親になるなら、自覚と責任と覚悟を持て!”と言うメッセージが重く響く社会派作品なのである。】

2025年5月7日
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鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

難しい

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NOBU

1.0映画が鬼畜

2025年1月19日
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ららら

3.5

2025年1月3日
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小川真由美と岩下志麻
その美しさがより恐ろしい
「砂の器」と並ぶ松本清張×野村芳太郎の
人間恐怖劇でした。

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映爺

2.0タイトルは「鬼畜」ではなく「人間」とすべき

2024年11月2日
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動物の子殺しは珍しくないそうです。ある種の猿は、ボスが交代すると新ボスはメスの子を殺し、自分の子を産ませるそうです。メスは子供を殺されて子育てをしなくなると発情するとのこと。これは善悪で語られるべきことではなく、強い遺伝子を残すための自然の摂理なのでしょう。

昔の日本では子供を貴重な労働力とみなす多産の時代が長く続きました。女の子は売られて現金化されることもあったようです。都市部では幼少時から丁稚奉公に出されて労働に従事する子供も多かったようです。

戦後の混乱期には親を亡くした子どもたちは靴磨きなどの労働に従事し、自活せざるを得ませんでした。

そんな子どもたちの状況を改善するために法が整えられました。

子どもの権利条約(1989年)
「子どもの権利条約は、子どもの基本的人権を国際的に保障するために定められた条約である。18歳未満を子どもと定義し、おとなと同様にひとりの人間として人権を認めるとともに、成長の過程で特別な保護や配慮が必要な子どもに関する権利も定められている。子どもの権利は、生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利の4つに大きく分けられ、経済的搾取から守られる権利や教育を受ける権利が含まれている」

労働基準法(1947年)
第56条:就業最低年齢が「満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了した後」と定められており、義務教育である中学校を卒業していない子どもを雇うことが禁止されている。ただし、満13歳以上の子どもは、健康や福祉に害を及ぼさない軽易な労働は、行政官庁の許可を得たうえで就学時間外に行うことができる。映画の製作または演劇の事業についても同様である。

子どもの就業を禁止することは子どもの人権を守るための措置ですが、逆に言えば子ども自分で働いて自活することはできなくなったため、親の保護から逃れられないということを意味します。昔は嫌な親から逃げ出して、大人と同等に働くことができましたが、現在ではどんなに虐待されようと、逃げ出して自活する道はありません。

性善説に立てば、子どもの人権は当然守られるべきであり、子どもを虐待する親は人間ではなく鬼畜である、と言えます。

性悪説に立てば、人間も猿の一種なんだから、血のつながっていない子どもを排除して自分の遺伝子を残そうとするのは自然の摂理である。生活が苦しい場合はまず子どもにかける費用が削られることも仕方ない。親の罪ではなく、子どもの働く権利を奪った法律の責任である、と言えます。

本作では、生活苦と妻に追い詰められた父親が、浮気で作った兄弟3人を排除しようと行動します。この愚かな夫婦を鬼畜と非難することは簡単ですが、人間の本質や文化を理解しないと虐待は防げません。私はこの夫婦を実に「人間らしい」夫婦だと思います。日本のマスコミのような性善説では子どもたちを救うことはできません。子どもたちには親から逃げ出して自活する権利を認めるべきではないでしょうか。

毎日のように親に殺されている現代の子どもらと、親が死んで靴磨きをして生き抜いた戦後の子どもら、どちらが幸せなのでしょうか。

どんなに鬼気迫る演技だろうがフィクションであることには変わりありません。本作は、とても現実の幼児虐待の悲惨さを超えることはできませんでした。

ラストシーン、長男は自分を殺そうとした父親をかばおうとしたという解釈ができるそうです。「なんと健気な子どもだ、あんな親でも子は慕うのが親子の情」ということで、感動のラストシーンになったそうですが、なんとぬるい解釈でしょうか。そんなことを言っていたら一生毒親から逃げられません。あんな親や情などきっぱり断ち切り、強く生きて行って欲しいものです。どう見てもあの父より息子のほうがよっぽど賢そうですから。

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jin-inu

4.0

2024年10月5日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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ouosou

5.0あまりにも衝撃的

2023年7月29日
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鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

怖い

まずは緒形拳さんのご冥福をお祈りいたします。
長年楽しませてくれてありがとうございましたと
お礼を言いたい。

訃報にふれたときにすぐに思い出したのが
この映画でした。

初めて観たのは果たしていつだったか。
もう忘れてしまうくらい子どものころだったように思いますが
未だにそのときの衝撃が忘れられません。

大人になってからも幾度か
目にしていますが
やはりものすごい衝撃。
子どものころに見たのとはまた、
違う角度から見れますので
よりいっそう深いものとなりました。

下手なホラーより怖いです。
子ども時代は単純に妻の岩下志麻が怖かった。
大人になってみると
主人公である緒形拳もおぞましく怖い。

最近、弱いことは悪くないと
他で観たばかりなのに
この映画では
弱さはすでに罪なのだと思い知らされてしまう。

いったいこの主人公が
重要視したのはなんだったのか。

映画のラストも、
きっと死ぬまで忘れないだろうな。

市井の、ある一部の人の話としてでなく、
もしかしたら自分のみにも起こりうると考えると、
果たして自分は
弱い自我を乗り越えて
子どもたちを守れるかどうか。
もちろんそこには
経済的な余裕もなければ
主張を通せる部分が揺らぐだろう。

人間の恐ろしさをじんわり
思い知らされる映画。
マジ怖い!

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ひよこまめぞう

0.5自虐的亡国論!こんな奴は世界中探してもいない。

2023年5月28日
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鑑賞方法:VOD

笑える

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マサシ

4.0子役の名演技に泣かされた

2023年2月11日
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泣ける

悲しい

緒方拳 岩下志麻の演技は言うまでもないが 長男役の子の演技が素晴らしすぎる 知らないと言い張るラストシーンで号泣

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よっしー

4.0凄いよねぇ。ど畜生!

2023年1月3日
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実際の事件が元のストーリーなのですよね。

緒方拳さん演じる父親が旅館で泣きながら昔話を吐露するシーン。
昔味わった惨めさを吐露する姿、あれは惨めさに負けた本当に惨めな人間のシーンだ。
それと対照的なのが、最後の長男の固く口を閉じた姿だろう。
どちらがより惨めで強いのか。
辛い目に合った人間には、同情したい。
だが、それを子どもに同じ目に合わせるような愚かな人間には、同情しない。
鬼畜になり得るからだ。
みんなお父さんが大好きなんですよね。無実な子どもたちはずっと人間でした。
あと志麻さん怖すぎ(笑)実生活では子煩悩なのに笑

シンプルに養子に出せ!と思ってしまいました。
あまりの役者陣の鬼畜ぶり、生々しさにとても見応えがありました。

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バカ

5.0自分は子供が産めなかった岩下志麻は 子供たちを見るとヒステリックに夫を責めたて続けた。 緒形拳はしだいに正気を失っていく。 そして信じられない行動を起こしていく。

2022年12月2日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

悲しい

怖い

動画配信で映画「鬼畜」を見た。

劇場公開日:1978年10月7日

1978年製作/110分/日本
原題:The Demon
配給:松竹

緒形拳  41才
岩下志麻  37才
小川眞由美 39才
大滝秀治
加藤嘉
田中邦衛 46才
蟹江敬三 34才
穂積隆信
大竹しのぶ
野村芳太郎監督
松本清張原作

緒形拳は零細印刷業者。
大規模な印刷店に押され商売はジリ貧に。
さらに自宅が火事になる。
銀行に融資を頼むのだが
行員(大滝秀治)に冷たくあしらわれる。

仕事も生活も苦しく妻(岩下志麻)は常にイライラしている。
そこへ緒形拳の愛人(小川眞由美)が現れる。
3人の幼い子供を連れて。

自分たち夫婦の生活も苦しいのに愛人と子供も養うことはできない。
小川眞由美は3人の子供を緒形拳宅に置いたままいなくなる。

自分は子供が産めなかった岩下志麻は
子供たちを見るとヒステリックに夫を責めたて続けた。

緒形拳はしだいに正気を失っていく。
そして信じられない行動を起こしていく。

序盤から最後の最後まで見ていて胸が苦しくなるストーリー。
緒形拳が自分の生い立ちを息子に聞かせる場面も泣けた。

つらすぎて、
これはお芝居なんだと自分に言い聞かせながら見終わった。

満足度は5点満点で5点☆☆☆☆☆です。

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ドン・チャック

5.0永久保存版🙆‍♂️

2022年6月15日
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ずっと前から気になっていた作品。とうとう鑑賞したが、想像以上に衝撃的な内容だった。無力な子供達が悲惨過ぎて気持ちが落ち込んだ。

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@Jankichi@

5.0怖い話

2022年6月14日
iPhoneアプリから投稿

この当時こんな役を岩下志麻姉がやるとは驚きだった。
緒形拳は皆承知の通り名役者。二人絡んで、更に小川真由美絡めりゃ恐ろしい物語になるに決まってる。世にも恐ろしい物語。

子役がね、最後は良かったんだけど。。棒読みでね。。。気になった。

まぁ必見な作品、

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ken

3.5追い詰められた貧しい父親が取った最悪の行動心理が痛いほど伝わってくる

2022年2月24日
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松本清張原作。検事から聞いた実際の事件がベースとのこと。

緒方拳・岩下志麻・小川真由美、3名のキーとなる役者がそれぞれの役割を「これしかない!」という入魂の演技で魅せてくれた。これに尽きよう。

だからこそ、各々の心理もビンビン伝わってきて、そして子供たちのあどけない演技も相まって、こちらも心を痛めながらの視聴となった。

現代ではニュースになるのはほぼ虐待死であり映画と同様のケースがあるかは何とも言えないが、自分だって状況が悪い方へ傾けば加害親側になる可能性を秘めていた(る)わけだから、反面教師の一つとして本映画「鬼畜」を記憶にとどめておきたい。

音楽はマッチしていたもののやや過剰気味とも感ず。音楽無しのバージョンがあれば悲痛度合いがもっと高まったかもしれない。

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resuwisshu311

4.0名優緒形拳の名演による男の未熟さを徹底的に突き詰めた社会派映画の傑作

2021年11月16日
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鑑賞方法:映画館、TV地上波

原作は昭和32年に起こった事件を基に松本清張が書き下ろした短編小説。映画では、その時代設定を現代に変えているが、内容的には差し支えないものだった。既婚の男が経済力で女性関係を自由奔放にするのは、いつの時代にもあるし、多くの小説や映画の題材になっている通俗的で普遍的なものだからだ。ただこの映画の主人公は、妻を裏切る形で外に愛人を作り子供まで儲けている。しかも本妻には子供が居ない。この場合だと、その秘密を隠し通せるか否かで状況は一変する。男の甲斐性なしが許されるのは、妻と愛人の双方が納得した特殊な場合だけで、そこに至るまでは修羅場が続くだろうし、男と女と言う以前に人間が出来ていないと、絶対無理である。
事件は、主人公が自営業として成功させてきた印刷工場が火事に遭い、同時に大印刷店の攻勢で商売が思わしく無くなって始まる。生活費を貰えなくなった愛人の行動から、誰もが予想できない最悪の結果を生む悲劇が展開する。そこに人間の怖さや愚かさ、愛情を失った人間の醜さが描かれ、強烈な印象を残す作品となった。

愛人菊代が子供3人を連れて主人公宗吉の本宅に押し掛ける場面の、大人3人のエゴイズムがぶつかるところが凄い。本妻と妾の間に立たされた亭主の立場の無さを演じる緒形拳の演技が兎に角素晴らしい。善人めいた立ち居振る舞いがユーモラスに見える緒形拳の演技は、このシーンを限りなくリアリティーのあるものにしている。この名優のなせる絶妙な演技に対して、妻梅の岩下志麻の怒りが抑えきれず理性を捨てた異様なまでの表情も凄い。殺意のある視線を子供に向ける不気味さ。女優としての芯の強さを、このような演技で発揮できる機会はそうそうないであろうが、この緒形拳とのバランスは見事である。子供を棄てる形で宗吉に復讐を果たす小川真由美の演技も堅実だ。母親の愛情をいとも簡単に超えた女の復讐により、宗吉が追い詰められる流れは説得力がある。突然他人の子供を預けられた妻梅の心情を思えば、冷酷にならざるを得ない立場にした夫宗吉が全ての責任となり、結局は父親としての宗吉のその後の行動が悲劇を回避する唯一残されたものであったはずなのだが。
末っ子の庄二が栄養失調で亡くなるのは、原作の食糧難の時代背景が影響しているという。その為曖昧な表現になったのは、この脚色の唯一のミス。それ以外は、人間失格の宗吉の惨めな行為を的確に描写していく。野村芳太郎の演出も迷いがなく、ラストの利一の台詞まで、作品が抱える問題提起に丁寧かつ真正面から対峙していて好感持てる。大人になれなかった大人とそれを知った子供を対比した日本映画の新しい切り口を持った社会派映画の傑作であった。脚本井出正人、監督野村芳太郎、主演緒形拳、岩下志麻其々の力量の証しに感服する。

  1979年 1月22日  飯田橋佳作座

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Gustav

0.5まぁひどい

2021年6月13日
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野村芳太郎と市川崑が日本映画をダメにした。

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ブロディー署長

4.0高校生の時の映画鑑賞会で体育館で観ました。

2021年5月8日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

怖い

作品については、もうすでに多くが語りつくされていると思います。
なので、私&同級生的なバカレビューをひとつ。
この映画鑑賞会が終わった後、しばらく
だどたどしいガッチャマンの歌と
無理矢理にアンパンを食わせる遊び
「喰えっ!喰えぇぇぇぇ~~~っ!が一部で流行しました。
俺らこそ鬼畜やないかい!

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野球十兵衛、

4.0増加し続ける幼児失踪件数、実は。

2021年5月6日
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鑑賞方法:DVD/BD

怖い

難しい

幼児失踪件数をググるとうなぎ昇りなのが判りますが、日本の幼児を隣国が臓器売買目的で狩っているのは周知の通りかと思います。
個人的に失踪はこちらと思っていました…。
が、親が子供を棄てるのが近代の昭和にあった訳です。このお話しは実話を元にしていますので。
こけし…これも貧しい寒村で口減らしに子供を間引いた証だとか言われています。これは江戸時代から明治までと思いたい。
そして私が日本人は実子を虐待しないと思い込んでいた…。
この映画は、思い込みをぶっ壊してくれます。
そして暗澹たる気持ちになる。
個人的に長女があれから戻って来ないのがショックで何処かで生きていると思うのですが…。
そして、経済的苦境の昨今、児童失踪が増えるなら果たして令和の親による間引きがあると考えざる負えない。
緒形拳、ダイコン役者だと思っていたがリアリティがあり過ぎた。
ダークウェッブなどがある現在ならよりやばい脚本も考えられるが、多分18禁か放送禁止になるね。
閉鎖病棟見たいにねwゲームだけど。
この程度のショックで収まったがもう見たくないよこの映画…。

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群青ノワール
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