菊次郎の夏のレビュー・感想・評価
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ぼくとおじさんの夏休み
思い出しレビュー41本目。
『菊次郎の夏』
母親を捜す少年と彼に同行する事になった中年男のひと夏の旅。
北野武がバイオレンスを排して描く、心温まるロードムービー。
子供一人じゃ危険だからと、近所のおばちゃんが自分の旦那を付き添わせてくれたんだけど、この男の方こそ問題児。
旅費を早速競馬に使っちゃうわ、無責任だわ、元ヤクザなのかどうか分からないけど、全然優しくないし、口も悪いし。
先行き不安…。
旅はシュール。
目的の傍ら、皆で遊んでいるのだ。
少年も、男も、出会った人たちも。
それぞれ、あの日の夏休みのように。
母親の居場所が分かった。
が…。
落ち込む少年に男は同情する。
男と全く同じなのだ。男もまたそうだったのだ。
男は少年を励ます。
ちょっとバカやってしまった男を、少年が気遣う。
いつの間にか愛情が芽生えていた。
「ぼうず」とぶっきらぼうな呼び方が「坊や」に。
旅が終わって別れる際、「おばあちゃん、大事にしろよな」と抱き寄せる。
最後の最後に名前を聞かれ、はにかみながら答える菊次郎。
二人のひと夏の旅は終わってみれば、優しく、温かく、大切なものになった。
順番が問題か?
予告編を見ると、楽しく過ごし、悲しいこともあり、最後はしんみりという展開になってます。
なぜか本編は悲しいことが早めに来すぎちゃって、あとのおふざけが強く感じられちゃいました。
絵日記的つなぎ
井手らっきょが良い
たくさん笑って少し泣いて
この映画、はっきり言って、これ、本当に北野武が、監督したの?と、思える作品ですが、面白いです、というよりも、感動します。
見所は、北野武監督ならではのリアルな笑い、しかも、ハチャメチャな笑わせ方ではなく、日常生活で、普通にあるような笑いです。そして、登場人物達も、普通に現実にいるようなキャラクターです。とくに、ビートたけしさん演じる菊次郎は、うちの身内にそっくりでした。(刺青は、していませんけど)
しかし、映画のラストに入る頃には、泣けます。しかも、そんな号泣でもなく、すこーしだけ泣けます。
そして、この映画のテーマは、様々な、偏見
だと勝手ながら、思っています。絶対に、強い偏見で、見られていると思う菊次郎が、純粋な少年との友情、交流によって、偏見なく、むしろ可愛く見られます。多分、旅の途中で、出会う様々な人達も多分偏見で、見られていると思う人達ばかりです。しかし、そのひとたちの優しさや暖かさによって、これまで、持っていた偏見が、バカバカしく思えます。
泣ける、笑える、そして、最後は、暖かい余韻を残させてくれます。人生で、一度は見ておいた方がいい作品の一つだと思います。
どうでもいいことですが、この映画の子役だった人は、いまは、社会人として、立派に働いているそうです。
「おい、ぼうず」から「坊や、ありがとな」
映画「菊次郎の夏」(北野武監督)から。
「ばかやろう」とか「てめぇ」とか、乱暴な言葉で
相手を威嚇してきた遊び人の主人公と、母親を探す小学生、
不釣り合いなふたりが繰り広げる一夏の冒険に違いないが、
気になる台詞をメモしていて気がついたのは、
北野武さん扮する菊次郎が口にする、子どもに対する呼び方。
旅の最初から途中までは、ずっと「おい、ぼうず」。(坊主)
それが、辛く哀しい経験をしていくにつれて「坊や」に変わる。
小学生が探していた母親が、あまりに幸せそうだった場面、
「人違いだった」と嘘をつきながら、引き返すシーンや
浜辺をてをしっかり握りゆっくり歩くシーンに、涙腺は緩んだ。
そして、お祭りで悪いことをして殴られ血だらけになった主人公の顔を、
小学生が、走り回って見つけた薬屋で買ったガーゼ等で、
丁寧に拭き取るシーンでの台詞「坊や、ありがとな」で最高潮に達し、
これ以後「坊や」と呼ぶシーンが増えた気がする。
この変化、きっと意識的だろう。
主人公・菊次郎の心の変化が、こんなところに表現されているとすれば、
メモが役にたったこと喜びたい。
「おじいちゃんの名前なんていうの?」という問いに
「菊次郎だよ」の会話で「ぷっ」と吹き出し笑いするラストシーン。
何か意味がありそうだなぁ。
P.S.
「競輪で6-3配当17,660円」を当てた時だけは「坊や」だったかも。(笑)
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