華麗なる一族のレビュー・感想・評価
全4件を表示
因果応報
もし阪神特殊鋼の突貫工事が完遂されていたら、物語の展開は大きく変わっていただろう。
もし鉄平の血液型がAではなくBだとわかっていたら話の展開も変わっていて大同銀行との合併もなかったであろう。
そうすれば高須愛子もクビにならずに済んだものを。
この映画には数多のIFが存在する。そこに欲望と情熱と嫉妬が綯交ぜになって展開され、そこがまさに妙味と言える。
結果、この華麗なる一族は崩壊への道を辿る。得たものの代償はあまりにも大きい。
ラストシーンのパーティー会場での銃声 あれは誰が、誰を撃ったのでしょうか?
物語の面白さ、巧みさは原作山崎豊子の原作によるものです
本作はその小説の世界の正に映像化そのものに意味があったと思います
恐ろしくリアルで如何に徹底的に取材して撮影したのかが伺えます
昨今ある事件から、上級国民という言葉が流行しています
本作はその上級国民の世界を垣間見せてくれるのです
上級国民からは程遠い自分でも仕事などでその一端をちらりと覗いてきたこともあります
その限られた経験ですが、余りにもリアルです
リアル過ぎるほどです
議員会館の部屋の内部、上級国民の屋敷の暮らし、取締役会、ホテルでの大パーティーの有り様は特にのけぞるほどリアルでした
ラストシーンのパーティー会場での銃声
あれは誰が、誰を撃ったのでしょうか?
あの銃声こそ、山本薩夫監督の本作における主張だったのだと思います
あの銃声こそが、映画としての本作のテーマなのです
あの銃声は、私達一般国民の観客が、あのパーティー会場に集まった上級国民に向けて撃った銃声だったのです
山本薩夫監督的に、あるいは社会主義思想的に表現するならば、
人民を搾取して虐げ、一般国民の苦しみなぞには少しの関心も持たない資本家と保守政治家たち
この互いに癒着して腐敗している呆れはてた連中に、怒れる私達一般国民の観客が、心の中で彼らに銃口を向けて、彼らを断罪する銃弾を撃ったのだ
連鎖倒産する中小企業の人々、解雇されたり給与引き下げされた人々、あの工場で赤旗を振ってシュプレヒコールを繰り返した労働者たち
その彼らの銃弾なのだ
こういうことなのだと思います
つまり観客に社会主義革命をなせ!との監督の扇動なのです
35年振りに東宝に戻って撮影した作品の最後の最後にたった一発の銃声を入れることで、監督は自分の撮りたい映画にしてみせたのです
華麗なる生活はいいんだけど、預金の金利つけてくれ~、できないのなら、貸出金利もなしにしてくれ~。
銀行合併と、それにまつわる女性の戦いみたいなものがテーマらしんだけど、銀行の合併も女性の戦いもよくわからなかった。
わからないんだけども、こういう世界もあるのか、(あったのか?)と興味深かった。
華麗なる生活しようが、妾何人持とうが、合併して企業規模を拡大しようが、天下りを受け入れようが、(これはちょっと問題かな?)別にいいんですけど、横並びのゼロ金利(実際はほんのちょっとあるけど・・・)ではなく、もうちょっとまともな金利つけてほしいような気がしました。
基本的にフィクションで、今もこういうことがあるのかどうかよくわからないけど、この映画を見ているとどうしても現在の銀行家の方に言いたいことが出てくる。
預金金利つけてくれ~。
つけられないのなら、貸出金利もなしにしてくれ~。
預金で、日本の赤字国債買うのやめてくれ~。
法人税、払ってくれ~。
貸し渋り、貸しはがしをやめてくれ~(byハゲタカ)。
いざとなったら、預金者や貸出先を人質にすれば、国が助けてくれるからと、無茶するのはやめてくれ~。
時代的にちょっとずれているし、何か古い感じはするんだけど、その時代の雰囲気みたいなものが映像に入っていて、現在と比較しながら見ていると、すごく刺激を受けて面白い、不思議な映画でした。
全4件を表示