劇場公開日 1974年1月26日

華麗なる一族のレビュー・感想・評価

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5.0本作のような綿密な取材に基づいた経済ドラマや映画はもっと観たいですね。

2024年10月27日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

知的

神保町シアターさんの特集企画『生誕百年記念 小説家・山崎豊子 華麗なる映画たち』(2024年10月12日(土)~11月1日(金))もいよいよ最終週。
本日は『華麗なる一族』(1974)を鑑賞。

『華麗なる一族』(1974)
山崎豊子氏原作の映画化7作目。
監督は『白い巨塔』(1966)に続き山本薩夫監督。

211分にもおよぶ長編作ですが、関西有数の都市銀行のオーナー頭取が業界再編・合併に抗い権謀術数をめぐらす経済ドラマの緊迫感、一族発展のための閨閥(政略結婚)、その家族たちの愛憎劇のストーリー構成がとにかく見事。固唾を飲みながらアッという間の3時間半でしたね。

小説の連載が1970年3月~1972年10月。現実では1971年に第一銀行と日本勧業銀行が合併したぐらいで、それから1990年の太陽神戸三井銀行合併まで17年間都銀13行体制が維持されたことを考えると、氏の先見性、慧眼には驚きますね。ましてや「小が大を飲む」ジャイアントキリングを図るために、自身の関連会社、子息も利用するところも実に面白いです。
家族の愛憎劇も「ぼんち」「女系家族」などの氏の作品を見続けると大阪船場商人話を大きく発展、飛躍させていることがうかがえますね。2007年日曜劇場でドラマ化、こちらも高視聴率を獲得しましたが納得ですね。

キャストは長男・鉄平役の仲代達矢氏の重厚な演技は安定と安心感がありますが、ベテラン佐分利信氏が自社発展に執着する鉄平の父大介・頭取役を老獪に演じており、氏の代表作と言っても過言ではないでしょう。
また一族に潜り込んだ執事兼大介の妾相子役の京マチ子氏。豊満な肉体とあいまって実に風格、たたずまいがリアルでしたね。
田宮二郎氏の『白い巨塔』財前五郎とも通じる手段を択ばない知性ある悪役、大蔵大臣役の小沢栄太郎氏、大同銀行専務役の西村晃氏も本作品でもお見事でした。

本作のような綿密な取材に基づいた経済ドラマや映画はもっと観たいですね。

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矢萩久登

4.0とうさん反対

2024年10月1日
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仲代達矢、西村晃の演技に見惚れた。もうたまらなかった。印象的だったのは、西村晃演じる綿貫専務が電車でバナナを頬張ってから缶ビールで流し込むシーンで、(人柄を表わしているのだけど)ひでえ取り合わせだ、と思わず笑った。

物語終盤でのクラブの音楽、エンドロールの音楽がとても心地良かった。

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抹茶

4.0因果応報

2024年8月25日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

もし阪神特殊鋼の突貫工事が完遂されていたら、物語の展開は大きく変わっていただろう。
もし鉄平の血液型がAではなくBだとわかっていたら話の展開も変わっていて大同銀行との合併もなかったであろう。
そうすれば高須愛子もクビにならずに済んだものを。
この映画には数多のIFが存在する。そこに欲望と情熱と嫉妬が綯交ぜになって展開され、そこがまさに妙味と言える。
結果、この華麗なる一族は崩壊への道を辿る。得たものの代償はあまりにも大きい。

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ちゆう

5.0ラストシーンのパーティー会場での銃声 あれは誰が、誰を撃ったのでしょうか?

2020年2月12日
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鑑賞方法:DVD/BD

物語の面白さ、巧みさは原作山崎豊子の原作によるものです
本作はその小説の世界の正に映像化そのものに意味があったと思います
恐ろしくリアルで如何に徹底的に取材して撮影したのかが伺えます

昨今ある事件から、上級国民という言葉が流行しています
本作はその上級国民の世界を垣間見せてくれるのです
上級国民からは程遠い自分でも仕事などでその一端をちらりと覗いてきたこともあります
その限られた経験ですが、余りにもリアルです
リアル過ぎるほどです
議員会館の部屋の内部、上級国民の屋敷の暮らし、取締役会、ホテルでの大パーティーの有り様は特にのけぞるほどリアルでした

ラストシーンのパーティー会場での銃声
あれは誰が、誰を撃ったのでしょうか?
あの銃声こそ、山本薩夫監督の本作における主張だったのだと思います
あの銃声こそが、映画としての本作のテーマなのです

あの銃声は、私達一般国民の観客が、あのパーティー会場に集まった上級国民に向けて撃った銃声だったのです

山本薩夫監督的に、あるいは社会主義思想的に表現するならば、

人民を搾取して虐げ、一般国民の苦しみなぞには少しの関心も持たない資本家と保守政治家たち
この互いに癒着して腐敗している呆れはてた連中に、怒れる私達一般国民の観客が、心の中で彼らに銃口を向けて、彼らを断罪する銃弾を撃ったのだ

連鎖倒産する中小企業の人々、解雇されたり給与引き下げされた人々、あの工場で赤旗を振ってシュプレヒコールを繰り返した労働者たち
その彼らの銃弾なのだ

こういうことなのだと思います
つまり観客に社会主義革命をなせ!との監督の扇動なのです

35年振りに東宝に戻って撮影した作品の最後の最後にたった一発の銃声を入れることで、監督は自分の撮りたい映画にしてみせたのです

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あき240

4.0華麗なる生活はいいんだけど、預金の金利つけてくれ~、できないのなら、貸出金利もなしにしてくれ~。

2014年2月16日
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興奮

知的

難しい

銀行合併と、それにまつわる女性の戦いみたいなものがテーマらしんだけど、銀行の合併も女性の戦いもよくわからなかった。

わからないんだけども、こういう世界もあるのか、(あったのか?)と興味深かった。

華麗なる生活しようが、妾何人持とうが、合併して企業規模を拡大しようが、天下りを受け入れようが、(これはちょっと問題かな?)別にいいんですけど、横並びのゼロ金利(実際はほんのちょっとあるけど・・・)ではなく、もうちょっとまともな金利つけてほしいような気がしました。

基本的にフィクションで、今もこういうことがあるのかどうかよくわからないけど、この映画を見ているとどうしても現在の銀行家の方に言いたいことが出てくる。

預金金利つけてくれ~。

つけられないのなら、貸出金利もなしにしてくれ~。

預金で、日本の赤字国債買うのやめてくれ~。

法人税、払ってくれ~。

貸し渋り、貸しはがしをやめてくれ~(byハゲタカ)。

いざとなったら、預金者や貸出先を人質にすれば、国が助けてくれるからと、無茶するのはやめてくれ~。

時代的にちょっとずれているし、何か古い感じはするんだけど、その時代の雰囲気みたいなものが映像に入っていて、現在と比較しながら見ていると、すごく刺激を受けて面白い、不思議な映画でした。

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Push6700