唐獅子株式会社のレビュー・感想・評価
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新種で雑種、いびつな芸能やくざコメディ
アメリカ映画人は実はこれを結構みているんじゃないか?
要素要素が、ドロボーしたくなる奇抜なアイディアに満ちている
甲斐智枝美のキャラクターは、ショーンベイカーのアノーラを彷彿とさす魅力がある、暴れん坊の女の子
なんだかスピルバーグの1941みたいな
脳内振り回されて、スラップスティック
ヘルタースケルターしっちゃかめっちゃか
水を使ったアクションシークエンスがなかなか見どころ
東映の正月映画らしい華やかさも
やすし、伊東、紳助、さんま、お笑いどころを揃えつつ、笑いどころは、非お笑いの丹波、安岡なのである
ちゃんとラストはカタルシスで回収するは
プロの映画人の腕ですね
小林信彦の原作は未読です
見たいものと見せたいもの
当時、私は十代でしたが学校でも話題になりました。
あのやっさんが主役の笑えるヤクザ映画となれば、校内暴力が日常語になっていた少年たちには原作を知らずとも、期待を膨らませるには充分でした。
冒頭、島田組は要らない。
出所を出迎える伊東四朗らのシーンから始めて、荒巻が塀を出たらそれが妄想であり、組へ駆けつけて初めて紳助が偉そうに登場したほうが解りやすいのでは?
全てがそんな感じで演出も脚本もムダが多すぎる。
妹だの観客にとって紛らわしいシーンも要らない。
とにかく、人間関係の説明が雑。
ひと通りの関係性を示して、やっさんと桑名がバディの信頼を築いたところで甲斐智枝美に振り回される。
そこへ噂話にしか上がらなかった島田組が急襲という形で初登場すればいい。
個人的にもっと、やっさんのアクションや桑名正博の色っぽさを見せて欲しかった。
甲斐智枝美は魅力はあるが、惚れた腫れたで揉めるには説得力が乏しい。観客が納得するエピソードが貧しいからである。
原作とかけ離れていても、こちらが見たいもので構成されていれば文句の量も減っていたはず。
やっさんが主役だから見ていられるのであって、仮に大御所を主役に迎えてこんな仕上がりになっていたら目も当てられないだろう。
作る側を責める気は無いけれど、観客へ見せたいものは、どこまで絵になっていたのだろうか。
笑っていいですか
まだお笑い芸人や興業が反社勢力との関係云々と批判されない時代の作品です。紳助、やすしさんはまるで「ものほん」、その筋のお友達から出所のシーンのアドバイスもいただいたとか。
やくざの喜劇ものでは本作や「プリズンホテル」がお気に入りだが小説での笑い、くすぐり方と実写化では表現手法が違い過ぎて難しい。愛犬のけじめのくだりは実写ではそうは笑えない。ダーク荒巻もやすしさんの存在感が強すぎて場もちはいいが役とは思えないところはどうなのだろう。起用は当時の久米さんとのニュース番組の人気に乗ったのだろうか。桑名さんのインテリやくざ、ピアノのシーンはしびれます、訳ありの左手を見せるところは上手い演出。明石家さんま扮する学生が人妻に伸し掛かるビデオ撮影のくだりは日活、曽根中生監督の自虐ネタ?、今からすれば希少価値。
大味ながらプロの職人さんたちが作っているのでシチュエーション・コメディとして気楽に笑って楽しめることは間違いないのだが、小林ワールドの再現となると難しい。近年、内外ともにコミック原作をいじるのが潮流になったのは調理の容易さにもあるのかもしれない。
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