劇場公開日 1982年10月9日

「『太秦行進曲』なのでは?!」蒲田行進曲 TRINITY:The Righthanded Devilさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0『太秦行進曲』なのでは?!

2025年5月13日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

楽しい

単純

 つかこうへい原作の舞台作品を映画化。

 新興勢力の角川事務所と大手の松竹が共同製作、舞台は東映京都撮影所と、何だかカオス気味。映画産業が斜陽化するなか、約10年前の大映ショックの余波が窺える作品。

 ロケの多くが撮影所のある京都(主に太秦近辺)で行われており、京都在住者としては見慣れた風景満載。タイトルに偽りあるのでは?!

 つかの舞台作品の常連だった平田満と風間杜夫は本作で知名度が上がり一気にブレイク。監督役の蟹江敬三は悪役中心の役柄がこの頃を境に変化。いろんな人の運命をいい意味で変えた作品だと思う。

 映画とTVの双方で頭角を現していた松坂慶子はさすがの演技力。

 ここまで名前を挙げた俳優は平田を除き、みな東京のご出身。別に京都で撮影しなくても、という気がする。

 ほかにも千葉真一や志穂美悦子、今や国際スターの真田広之が客演。若手時代の石丸謙二郎や萩原流行、当時は無名だった福本清三の姿も。

 舞台も小説版も拝見していないので憶測にすぎないかも知れないが、つかは断片的な映画界の知識だけでプロットを構築したのではという気が。
 そのせいか、銀ちゃんのモデルが中村錦之助(萬屋錦之介 錦ちゃんと呼ばれていた)という説が一部の媒体に見られる。
 冒頭でツブシ(日中にナイトシーンを撮影すること)が登場することも撮影は15時終了が原則だった中村を連想させるが、その理由は家族揃って夕食を迎えたいという彼の意向を汲んだゆえ。
 家庭的で子煩悩として知られた中村よりも、取り巻き引き連れて無茶をしでかすエピソードは東映時代の若山富三郎の方が近いかも。

 個人的には、物語の余韻を阻害するラストシーンは余計だった気がする。

 BS松竹東急にて観賞。

 自前の素晴らしい作品を抱えているんだし、金の掛かる東宝特撮シリーズとか野球中継なんてやらなくていいから、番組編成組み直して放送終了も考え直して!!
 ゴジラなんかBS12トゥエルビに任せといてギララやって。

TRINITY:The Righthanded Devil
PR U-NEXTで本編を観る