「【1970年。貧しき長崎の5人家族が、北海道に酪農開拓するために日本縦断する姿をドキュメンタリータッチで描いた哀しきロードムービー。】」家族 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【1970年。貧しき長崎の5人家族が、北海道に酪農開拓するために日本縦断する姿をドキュメンタリータッチで描いた哀しきロードムービー。】
■長崎の小さな島で生まれた民子(倍賞千恵子)。
故郷では、5人家族では暮らせないと思いつめた夫、風見精一(井川比佐志)に連れられ、子供たちと共に北海道で酪農をするために移住することになる。
その日本縦断の旅行はさまざまな困難と疲労、そして家族間の喧嘩が頻発する。
そんな中、万博の人込みで体調を崩した幼い娘が東京で急死してしまう。
◆感想
・山田洋次監督と言えば、人間味あふれる映画製作者という言葉が思い浮かぶが、今作は見ていて相当にキツイ。
移住途中の旅で、幼い娘は東京で急死し、漸く着いた北海道の中標津で、随所でバラバラになりかけた家族を支えて来た祖父(笠智衆)も又、布団の中で冷たくなっているのである。
・今作の見所としては、1970年の日本各地の状況がドキュメンタリータッチで映されている所であろう。
大阪万博がメインであるが、東京でも凄い人である。
当時、長崎から出て来た一家にとっては驚きであり、疲労の一因にもなったのであろう。
■北海道開拓団と言えば、先駆者の依田勉三の名が直ぐに出て来るが、驚いたのは1970年でも、北海道に向かう一家が居た(というか、未だ”開拓団”と言う存在が在った。)ことに驚く。
だが、今作でも描かれるように、開拓団として渡った人の多くは離農している。気候に慣れなかったり、農林水産省のコロコロ変わる政策に翻弄されたからだと思っている。
更には、今夏のコメ不足や、酪農家の離農が続くのは、農林水産省の”減反政策”を代表とした政策の過ちが齎したモノだと思っている。
<今作は、北海道に渡れば夢の様な生活が待っていると思い、長崎を出て日本縦断した家族が経験した様々な辛い出来事を、リアリティ溢れる描写で映した哀しきロードムービーであり。漸く北海道に辿り着いた家族に未来はあるのだろうか・・。>
■最後に
日本の農林水産大臣の多くは、原因不明の死を遂げたり、娘に刺殺されたり、呪われたポストと言われているのは、ご存じの通りである。
私は、それには理由があると思っている。