「隠れた名作。きっと永遠に隠れた名作になるであろう。」家族 星組さんの映画レビュー(感想・評価)
隠れた名作。きっと永遠に隠れた名作になるであろう。
1970年の日本。
貧乏からの脱出、新天地に夢を抱き
長崎から北海道まで家族と移動する話。
俳優の演技部分以外
ほぼドキュメンタリー的に撮影
当時の日本の人々の姿を残した。
この映画を作る努力も凄いが
前田吟さんのあるシーンに感銘を受けた。
ジブリの鈴木敏夫さんもその部分に注目。
旅の途中、父(笠智衆)の言葉に反応した
福山市在住の末息子(前田吟)の一瞬の反応、
その表情に演技を超えるものを感じた。
音楽の入り方も良いが、やはり演技。演出。
父の言葉、見送る末息子の顔、離れる列車、
車で会社(工場)へ向かう、涙を拭う、
空撮、小さく映る車、工場地帯。
この場面は、どんな賞を手にした俳優をも凌ぐ
心に残る最高の場面だと、個人的には思っている。
長旅で極限状態にあった家族
東京に着く頃に大きな出来事が…
その出来事の中心人物、
いつも明るく振る舞っていた妻の
少しずつ垢抜けてゆく化粧。
妻であり母の(賠償千恵子)の姿
旅と共に変化する彼女の心の有り様
絶望に崩れ落ちる姿と、その後…。
旅の終わりに見せていた父の笑顔。
それで終わらない、これで良かったのか?
旅をして良かったのか、家族に問う。
山田洋次監督の映画に触れていつも感じる
日本の姿を残してくれた事への感謝。
どの家族にも有る喜びと悲しみ。
間違いなく隠れた名作。
知っていて良かった映画。
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