火星のわが家のレビュー・感想・評価
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火星の土地を売った男・・
主演の鈴木重子はボーカリスト、姉役のちわきまゆみもロック歌手、下宿人の堺雅人も早大の学生演劇のスターだったが映画初出演、監督の狙いなのだろうが殆ど素人ばかりなのである。
唯一、姉妹の父役の日下武史は劇団四季を立ち上げた生粋の役者、この四人の織り成す生活のスケッチ的な映画。
素人の中だから、尚更そう感じるのかも知れないが日下さんが浮きまくり、妙に芝居がかって見えてしまうから、不自然なこと夥しい。
それより困ったことに主人公のセリフが聞こえない、彼女の歌もそうだがハスキーで殆ど口を開けない唱法と同様、終始、か細い声でボソボソ語るから聞き取りにくくて閉口した。最初、録音が下手なのかと思ったが戸の軋み音まで拾っていたので精いっぱい頑張ったが力及ばずということだろう。
堺さんも、素人衆のあおりでしょうか、どこにでもいる平凡な青年に埋没、今の芸風からは別人でした。
火星と出てくるが星や宇宙を絡めれば浪漫という安直な発想か?、劇中の父親がかって月や火星ブームに便乗して火星の土地を売る詐欺まがいの商売をやっていただけ。実は本当にあった話で大嶋拓監督の父上も購入したという逸話に着想して映画化を思いついたそうだ。
確かに高い東京の地価では広い土地など庶民には夢の話、同じ夢なら宝くじではないが火星の土地も夢の一つと頷ける、ただ、浪漫と言うには世知辛過ぎて宇宙の神秘、ロマンとは異質ですね。
初老の父(日下武史)は自伝の出版に懸命、それを助けているのが中島透(堺雅人)、歌が歌えなくなって米国から帰国した歌手の未知子(鈴木重子)は父思い、姉の久仁子(ちわきまゆみ)は自分勝手な父が疎ましい、妙な三角関係もあるが父が急逝してジ・エンド、天国ならぬ火星のお家に移住したらしい・・。
母親の子守歌が原点と言う鈴木重子に、相撲好きというロッカーのちわきまゆみは両極端、地のままでの姉妹衝突、化学反応を狙ったのだろうが演技の素人では空回り。おそらく監督は「東京物語」の小津監督風の家族ドラマを作りたかったのでしょう、小津さんにしても笠智衆さんや原節子さんあっての作品でしたからドラマを描くことは発想だけでは難しいと言うことでしょう・・。
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