劇場公開日 2023年11月11日

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「松田優作の会話劇。″新境地″ ?…そこまでではない。」陽炎座 Haihaiさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0松田優作の会話劇。″新境地″ ?…そこまでではない。

2024年10月13日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

難しい

寝られる

1981年公開、日本ヘラルド配給。

1913(大正2年)に発表された泉鏡花の小説を原作とした、幻想的な映画。

監督:鈴木清順
脚本:田中陽造

主な配役
【松崎】:松田優作
【玉脇男爵】:中村嘉葎雄
【玉脇品子】:大楠道代
【玉脇いね(イレーネ)】:楠田枝里子

脚本の田中陽造は、日活ロマンポルノの全盛期を支えた脚本家として有名だが、
『セーラー服と機関銃』、
『上海バンスキング』、
『めぞん一刻』
などの成人映画以外の作品も手掛けている。

◆松田優作と中村嘉葎雄、
◆松田優作と大楠道代、
◆松田優作と楠田枝里子、
上記の組み合わせによる「会話劇」である。

その会話がもどかしい(笑)。

セリフ回しが、まるで武者小路実篤の『愛と死』を読んでいるような錯覚に陥る(笑)。

いまの日本人と少し違う。
『愛と死』を初めて読んだ時、
古さではなく、むしろ、なにか神聖な感じを受けたものだ。

この作品のセリフは、大正時代?を強く意識している。
イントネーションやアクセントではなく、
言葉遣いが違う。
観る側は、この違和感に慣れるか、あきらめるしかない。

製作陣の、
「大正期の空気を醸し出したい」、
という強い意思を汲み取ることができる。

1.松田優作はミスキャストではないか?
Wikipediaでは、
「アクション俳優として勇名を轟かせていた松田優作に、
監督が直径1mの円を描き
『この中から出ないような演技をしてください』と指導し、
彼の新境地を開かせた作品」
と紹介されている。

10年おきくらいに、何度も本作を観る機会があった。
しかし私は、一度たりとも
松田優作の ″新境地″ を感じられないのだ。

松田優作は、本作のために役柄を作りこんだりはしていないと思う。

もちろん、アクション映画ではないから
多少のアジャストはしているだろうが、
『家族ゲーム』とは違う次元だ。

本作での松田優作は、
誰もが知る松田優作であり、
『野獣死すべし』や『蘇える金狼』となにも変わらない。

2.美しい映像と音楽
「武満徹 ″風″ 」なのか、
単に「雅楽」なのか、
浅学な私にはわからないが、
雅楽器を用いた音楽が、作品全体に謎めいた雰囲気を醸し出す。

3.『ほおずき売りの婆さんを怖がるように』
とにかく、全編を通じて
わけの分からないセリフ、シーンが多い。
この世界観を受容できるのか、できないのか。

まとめ

◆大正期のムードを満喫したい方
◆夢野久作や小栗虫太郎、中井英夫が好きな方
◆鈴木清順を無条件に崇拝する方

大正浪漫のかほりを感じてゐるのです(笑)。
そのような皆さま向けの、ニッチマーケット向けマニアックな作品。

つまり、わたしの☆は、2.0

Haihai