かくて神風は吹くのレビュー・感想・評価
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かくて神風は吹く
戦争末期に作られた戦意高揚映画である。
当初、五所平之助監督で「ロメオとジュリエット」風の物語が軸になつていたが、軍部からクレームがつき丸根賛太郎監督に交代して手直しされた。
この作品の見所は、時代劇の四大スター(阪妻、千恵蔵、嵐寛、右太衛門)の競演と東宝特撮陣による元軍が台風により博多湾で壊滅するシーンである。このシーンは見応えがあり、戦争末期物資不足の折、見事な出来ばえで、よく撮ったと感心する。これは特撮史上特筆すべきことで一見の価値あり。
若い人たちに「…神風」という題名だけで観もせずに、この作品を揶揄する者がいるが、これはそんな安手の作品ではない。当時の観客は空襲下ある緊張感を持って観た。尺数の不足は仕方がないが軍部の後援をえてのスペクタクル大作である。演技陣もそれぞれ持ち味を出し力演、千恵蔵の北条時宗が出色。邦画ファンなら一度は観ておいて損はない。当時の評論家は「一億国民必見の作品」と激賞したが、今は「特撮シーン」は一見の価値ありと薦めることにしている。
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