海底軍艦のレビュー・感想・評価
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懐かしさと改めて気づいたこと
小学生のときに町内子ども会の夜間野外上映会で観たような記憶があり、ムー大陸の名は、その後に学んだ大陸移動説やアニメ『勇者ライディーン』まで覚えがあった。改めて観ると、海底人の最初の出立ちは、魚人のようでもあり、サンダーバード5号のような宇宙ステーションがあり、都市埋没でマンホールの蓋が地下水圧で飛ぶようなことがあったり、3日がかりの船旅で着く島がジープで乗り回すほど、伊豆大島とも同じような火山灰地質でボーキサイト等の資源が豊富だと言われ、海底軍艦建造の背景に、旧日本海軍の勢力回復を目的としていて、服装が全然違う上官や娘に説得されて考えを変えてしまうというのも奇異に感じ、宇宙戦艦ヤマトのように瓦礫に覆われたなかからの発進、ジェットモグラのような海底軍艦の動き、『ネバーエンディングストーリー』のファルコンのような龍の出現等、結構、目を惹かれた。
ただし、小学生のときに町内子ども会の夜間野外上映会で観た記憶で、一際目を惹かれた場面がなく、それは同じ監督制作による『緯度0大作戦』であったことに思い到った。
轟天!ドリル命!回転軸命!特撮美術の職人芸極まれり! 終戦後18年当時、改めてドラマの重さを知り、伊福部音楽に酔う 踊れ!踊れ!ムー帝国のダンスシーン、シェーのポーズ発見!
轟天!ドリル!ムー帝国!!
本作品は、これぞ東宝特撮映画というスタッフXキャストXストーリーと、『轟天号』の魅力に尽きます!(マンダくんは少し弱い)
水陸空両用の万能戦艦・轟天号のデザインも、サンダーバードプラモの箱の小松崎茂先生です。
(「地球防衛軍」「宇宙大戦争」のコンセプトデザインも小松画伯です。)
もちろん、円谷英二による重量感のある轟天の特撮シーンは必見です。
そして、同じく重量感のある、伊福部昭のテーマ音楽も凄い!!
やはり,ドリルはカッコイイ。ドリル、パラボラ、は燃えます。
改めて、轟天号アップモデルのドリルの削りだしのソリッド感に感激!
一切軸がぶれずに正確に回転するドリル、先端の突起が前後するリズムの正確さ!
素晴らしい、美術の職人芸極まれり!
そしてドラマでは、終戦後18年しか経ってない中での戦争の描き方。
戦争経験者もまだ多くいた頃だけに、重みがあります。
少年漫画雑誌の絵物語のような、架空の戦艦の活躍。
さらに、失われた幻の文明、ムー帝国の復活。
大人数で十分時間をとって描かれるダンスシーンにも注目。
なぜかシェーのポーズ、初めて発見!
映画公開が1963年、赤塚不二夫氏がしシェーを発表したのが1964年からとネット情報にあり、どっちが先か気になるところでもあります。
滅びゆく文明を描く、最後の大爆発シーンの特撮も注目。
水中に絵の具を噴出、天地逆にした映像がユニーク。
4K大スクリーンで観る、一人で泳いでいくムー皇帝が最後に両手を挙げてから沈む姿が泣けます。
余談ですが、後に、1995年、東宝ビデオからOVA『新海底軍艦』全2巻(未DVD化)が作られました。
キャラクターデザイン・安彦良和!(ガンダム)×メカデザイン小林誠!(Zガンダム,ガンダムZZ)。
キャストには、声優さん以外にも、瑳川哲朗、清水紘治も参加、そちらも面白い作品でした。DVD化希望!
ムウ帝国🆚旧日本軍の生き残り
120万年前に滅亡したとされるムウ帝国と、
先の大戦で死んだとされた
海軍大佐・神宮寺(田崎潤)
その神宮寺が、途轍もない兵器である《海底軍艦の轟天号》を
完成させていた。
ある日撮影スタッフたち(高島忠夫ほか)が海辺でモデルを
撮影している。
すると沖の方で《謎の人物》が現れて人をさらおうとする。
そこから120万年前に滅亡した【ムウ帝国】の工作員が
現れる。
そしてすぐムウ帝国から世界に脅迫フィルムが送られて来ると、
世界各地を瞬く間に爆発炎上して香港もシンガポールも
世界各地が次々と破壊される。
未曾有の世界危機を救うのはただ一つ
《海底軍艦の轟天号》というお話しです。
ムウ帝国の工作員の案内で実業家で元少将の上原謙と高島忠夫
そして神宮寺の娘の真琴(藤山陽子)が、
ムウ帝国に呼ばれる。
この海底にあるムウ帝国は、なにやらエジプトの衣装に
踊りはインド風。
謎の《マンタ》という守護神の怪獣を持っていて
《マンタ》のデザインが、独創的で面白い。
(クラゲとキノコの巨大な化け物ふう)
そしてなんと言っても格好良いのが田崎潤さん演じる
生き残りの海軍大佐・神宮寺。
なんとなく三船敏朗に似てて三船を優しくした感じ。
第二次世界大戦中に反乱軍を率いて、南方の島に軍隊を持ち
率いているのだ。
そして開発した《海底軍艦の轟天号》は、
ドリルで岩盤を砕いて進むやら、
浮かんで空を飛ぶやら、
そして本来は潜水艦なのでもちろん深海に潜ります。
そして最後にはマンタを凍結して、ムウ帝国の動力源に突入する
轟天号!!
いやぁ、面白かったですね。
日本のSF特撮のロマンがギューっと詰まった楽しい作品でした。
(特技監督は円谷英二さん)
轟天号出撃せよ
DVDで3回目の鑑賞。
原作は既読。
タイトルがシンプル・イズ・ザ・ベストのカッコ良さで心底たまらない。男子の琴線を揺さぶって来る。無条件に興奮してしまうのはオタクの性である。お許しを…
轟天号のデザインもこれまた最高。小松崎茂氏は神様だ。その雄姿はまさに「人類最後の希望」に相応しい。ドリルとは男の子の永遠の浪漫なのだと改めて感じた。
神宮司大佐の存在感も出色。終戦を迎えても尚、彼の戦争は終わっていなかった。戦争に人生を狂わされた犠牲者と言えるキャラを熱演する田崎潤の演技に、心底魅せられた。
苦悩の末、滅亡の淵に立たされた人類とムウ帝国に誘拐された愛娘を救うため勇躍出撃。圧倒的指揮で敵を粉砕する。まさに武士道、葉隠の精神だ(葉隠の使い方、合っている?)。
轟天号とマンダとの戦いや、ラストのムウ帝国大爆発もすごいが、個人的に推したいのが、ムウ帝国の地震攻撃によって壊滅する東京丸の内のシーンだ。オフィス街が陥没して崩れ落ちていく様が大迫力。円谷英二特技監督による創意と工夫に満ちたシーンの数々はやはり色褪せない。
[余談1]
ムウ帝国工作隊23号の「ムウ帝国」の発音、耳にこびりつかないだろうか。独特なセンテンスの切り方と云うか、どう表現したらいいかの分からないが、なんだか変わっていた。
[余談2]
小学生の頃に原作を読んだが、ムウ帝国もマンダも、影も形も無かった。昔ながらの海洋冒険奇譚を、めちゃくちゃ脚色して完成させたことが分かり、恐れ入った。
ちなみに押川春浪は、2019年に放送のNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」に登場して驚いた。まさか天狗倶楽部の一員だったとはなぁ…
[以降の鑑賞記録]
2020/10/10:Amazon Prime Video
2020/10/17:Blu-ray
※修正(2025/01/12)
海底軍艦今も沈没せず
東宝特撮1963年の作品。
一連の作品群の中でも、特に好きな一作。
特撮SFもしくはSFアドベンチャーと言うより、“空想冒険活劇”と言うに相応しい、その醍醐味がたっぷり!
謎の蒸気人間が頻繁に目撃。
正体は、ムウ帝国工作員。
1万2千年前、大繁栄を誇りながらも、一夜にして太平洋に沈没したムウ帝国が、かつての栄光を取り戻そうと侵略を進めていた。
そんなムウ帝国が恐れるのは、ただ一つ。
旧日本海軍・神宮司大佐が建造したとされる“海底軍艦”の存在だった…。
東宝メカの中でも今も尚不滅の人気を誇る海底軍艦こと“轟天号”。
潜水艦に巨大なドリルを付け、ブリキのおもちゃみたいなデザインながら、海中は勿論空も飛び、カッコ良さは色褪せない。その後派生作品や新デザイン、「ゴジラ FINAL WARS」でも再登場したほど。
海竜マンダとの闘いは名シーンの一つ。
伊福部昭の重厚なマーチ曲がこれまた素晴らしい。
世界を脅かすムウ帝国の侵略の魔の手。
対する事が出来るのは、海底軍艦だけ。
海底軍艦出撃の説得の為、かつての上官は神宮司大佐が居る太平洋上の島に赴くが…。
かつての上官と死んだとされていた部下の再会は、涙を誘うものではなかった。
時が止まったままの神宮司。海底軍艦建造も、大日本帝国再建の為。
「戦争は終わり、世界は変わったんだ」
元上官の説得に対する神宮司の叫びが虚しい。
「だからまた海底軍艦で変えてやります!」
涙を流した人物は居た。
神宮司の娘、真琴。
夢にまで見た父との再会。
しかし…
父は娘との再会に優しい言葉の一つも掛けず、ただの戦争キチ○イ。
「夢で見てた方が幸せでした」
が、父も娘の写真を肌身離さずずっと持っていた。
本当は心底、娘を想っていた。
それを伝えられぬ不器用な父…。
最愛の娘の悲痛な言葉は、父の錆び付いた心を動かす…。
半世紀以上も前の作品なので、いつもながらツッコミ所は多々、好き嫌いも分かれる。
ヒロイン藤山陽子は正統派の美人だが、高島忠夫演じる主人公とのロマンスがいつの間にか進んでてびっくり。
ムウ帝国人も皇帝陛下も、キャラ描写やら設定やらまあチープ。(何で日本人が演じる?…なんてのは愚問)
また、一部では右翼的とも言われているが、決してそうじゃないと思う。
神宮司も自分の考えは間違っていたと改めるし、失われた栄光にしがみつくムウ帝国人や皇帝の姿は悲壮感を駆り立てる。
田中友幸Pのペンネームでもある“神宮司”。東宝特撮の名脇役、田崎潤にとっても最大の当たり役。
掻き立てる冒険とロマンと設定…。
超久し振りに見てもやっぱり面白い、東宝特撮指折りの娯楽活劇だ!
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