劇場公開日 1963年11月16日

「戦争を生き延びることは子を産み育てることである。」女の歴史 文字読みさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0戦争を生き延びることは子を産み育てることである。

2023年2月8日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1963年。成瀬巳喜男監督。美容院を経営する女性主人公は義理の母とサラリーマンの息子の3人暮らし。息子の結婚を考えるようになるが、息子は息子でキャバレーの女と結婚するという。これまでの子育ての苦労を思い出す主人公は戦前の自身の結婚から夫の出征と戦死、戦後の苦労とそれを支えてくれた夫の親友への甘い想いを次々に想起する。現実では、息子にある出来事が起こって、、、という話。
女たちが戦争を生き延びることと子供を産み育てることがパラレルに描かれる。歴史とは生み育てる女たちのつながりである。まさに女性映画。
戦後の人込みを表現する大勢のふらふら動いている人々と坂のある街、広場、飲食店などのセットがすばらしい。そして、結ばれない仲代達也と高峰秀子。高峰秀子主演の映画を通して戦争を考えてきた当時の観客は、仲代達也がでてくるだけで「決して結ばれない二人」と直感したのではないか。そのくらいこの二人は結ばれない。

文字読み