「田畑智子が強烈で素晴らしい。」お引越し mac-inさんの映画レビュー(感想・評価)
田畑智子が強烈で素晴らしい。
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4Kリマスター公開で、30年数年ぶりに鑑賞。
中井貴一が若く、結構色気があってびっくり。
桜田淳子が多分、出演映画の中では一番いい演技。
で、11歳ぐらいの田畑智子が核弾頭みたいに強烈で素晴らしい。彼女も多分これ以上の演技はその後もなかったと思う。上手い下手を超えている。個としてしっかり存在している。
前半30分ぐらいは、ワンシーンワンカットが続く。(途中でカット数を数えれば良かったと思った) その素晴らしいこと!カメラは滑らかに動くし、ショットが次々と素晴らしい構図で決まる。カメラマンは栗田豊通。
話は、夫婦の離婚を通して少女が成長してゆく話(いつものように筋は役者の魅力を引き出す役割でしかない。今回も話としてはまとまりがない)。多分相米としては、少女から「女」に変わる「脱皮」をフィルムに焼き付けたかったのだろう。でも、ちょっとそれは出来なかった。彼女(田畑)の成長を映画の完成が待てなかったから。
でも、相米はあの手この手を使ってフィルムにそれを定着させようとする。圧巻は琵琶湖の祭りのシーン。よく撮れたと思う。本当の祭りを背景に演技が続く。
その後の竹林から湖のシーン以降はかなり観念的な話になる(ちょっと退屈)。 でもこの三人(中井、純子、田畑)の熱量を吸収させるにはこれぐらいの混沌が必要だったのだと思う。
おかげでその後の、母親(桜田淳子)とレンコ(田畑智子)の和解が納得できる。(理屈じゃないんだよね。気持ちを受け止めてほしいだけ)
で、ラストが笑えるというか素晴らしい。田畑の成長をワンカットでエンドクレジットとともに描く。もうその背伸び感が素晴らしい!
やっぱり傑作。
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