劇場公開日 1994年12月23日

「【様々な夫婦の形、恋の在り方について描いた逸品。色々と考えさせられます。夫婦の幸せとは物質的な満足ではなく、相手への感謝の気持ちを忘れない事から生まれるのだな、と改めて気づかせてくれる作品である。】」男はつらいよ 拝啓 車寅次郎様 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【様々な夫婦の形、恋の在り方について描いた逸品。色々と考えさせられます。夫婦の幸せとは物質的な満足ではなく、相手への感謝の気持ちを忘れない事から生まれるのだな、と改めて気づかせてくれる作品である。】

2024年9月28日
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悲しい

知的

幸せ

ー 今作では、幸せな家庭を持ちながら一年に一度の撮影旅行を生き甲斐に感じている中年の主婦(かたせ梨乃)とその夫(無茶苦茶お若い岡崎市出身の平泉成のさん)との、やや倦怠期にあると思われる夫婦関係や、満男のややデリカシーの無い旧家の先輩NOBU(何か、嫌だなあ。山田雅人)とその妹の菜穂(牧瀬里穂)と満男との淡い恋が描かれる。
  ロケ地は琵琶湖湖畔の長浜市であるそうである。-

◆感想

・あれだけ、就職活動に苦労したのに、靴メーカーの営業マンとして働く満男は、不満たらたらである。
ー が、気持ちは良く分かる。入社して、三日、三か月、三年が転機とはよく言われる事である。-

■ここで、戻って来た寅さんと満男の鉛筆を売る口上合戦が面白く、且つ寅さんのアリアとして絶品である。
 満男が軽く負けるのであるが、寅さんの人情が籠った口上には、財布の口を開けたくなるよね。渥美清さんの真骨頂である。

・場所は琵琶湖湖畔に映り、満男のややデリカシーの無い旧家の先輩NOBUに”相談がある”と招かれた満男と郵便局に勤める菜穂との出会いが描かれる。
ー 牧瀬里穂さんは、今観ると。”お顔を知っている・・。”と思ったらアイドルじゃない!しかも郵便局のCMキャラクターだったそうである。成程。-

・二人が、長浜の祭りを見に行くシーンと、寅さんが撮影中に怪我をした主婦を助けるシーンが並行して描かれる。
 そして、主婦が何となく倦怠期にある事も分かるし、気の強い菜穂が、勝手に満男との恋愛を勧めるのに対し、激烈に怒るシーンも良い。
 恋愛とは、自分と相手との意思疎通があって初めて入り口に立つものであり、例え親兄弟であろうとも、そこに口を出すのはオカシイという自由恋愛の風潮を見事に描いている。

<満男が相変わらずに正月と言うのに、不貞腐れている所に奈緒がわざわざやって来ると、満男の機嫌が一転して良くなるところも、本人が劇中で言っている”僕はオジサンに似て来たらしい。”という言葉通りに、ソックリである。
 数作前から、渥美清さんの病状は深刻化していたそうであるが、それを微塵にも見せないのは、正にプロであるとも思った作品である。>

NOBU