「女の幸せ・不幸せ…その間を泳ぐのが男。」男はつらいよ 拝啓 車寅次郎様 syu32さんの映画レビュー(感想・評価)
女の幸せ・不幸せ…その間を泳ぐのが男。
「男はつらいよ」シリーズ第47作。
Huluで「HDリマスター版」を鑑賞。
満男が無事就職して半年。仕事について悩んでいた矢先に、大学時代の先輩から手紙が届き、地元の山鉾祭を見に来ないかと誘われました。相談したいこともあるらしく、休暇を取って一路琵琶湖の畔の街・長浜へ…。
偶然、寅さんも長浜にいました。当地で出会った写真家の典子と意気投合。左腕を脱臼した彼女を介抱するなどして距離を縮めていきましたが、彼女にはすでに夫と娘がいて…。祭の日、夫が典子を連れ戻しに来て…。
一方、満男は先輩の家に厄介になっていて、先輩の妹・菜穂に恋心を抱いていました。祭の日、勇気を出して「付き合ってる人いるの?」と訊くも煮え切らぬ返事…。そこへ寅さんが通り掛かり、素晴らしい助言をくれました。「いたっていいじゃねぇか。そいつと勝負すりゃあいい」。菜穂にも「こいつを頼むぜ」と言って、人混みに消えてしまう寅さんなのでした…。
先輩が言っていた“相談”というのは…「妹をもらってくれねぇか?」…やっぱりねぇ…(笑) 菜穂の気持ち次第だと満男は言いましたが、当の菜穂は不快感を示し、女の幸せは結婚だなどという旧弊的な考えを押し付けられたくない、自分の幸せは自分で選び取りたいと反発。兄とグルになった満男も嫌いだと言って、一旦は振られた形となった満男なのでした…。
そしてお正月―。
失恋の後遺症で年明け早々クサクサしていた満男の元に、振られたと思っていた菜穂が訪ねて来た! すっかり機嫌が治ってしまい、土手の階段を軽快に駆け降りる満男。その顔には満面の笑みがあったのでした…。
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娘と歩いている典子の幸せそうな様子を見て、「俺の気は済んだ」と言い、彼女に会わずに身を引く寅さんの背中に漂う哀愁が堪りませんでした。
【余談】
タイトルは「拝啓天皇陛下様」のオマージュ?