「ジャック・タチの『ぼくの伯父さん』(1958)も見直したくなった」男はつらいよ ぼくの伯父さん kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
ジャック・タチの『ぼくの伯父さん』(1958)も見直したくなった
満男視点が徐々に濃くなり、男はつらいよシリーズもいよいよ満男の恋物語になった。親には相談できない恋の悩みも寅さんにだったら打ち明けられる。そこで出てきた話が「自分のことを醜く知ったら、もう決して醜くなんてない」という博から教わった言葉。一方で、一緒に酒を飲んだ満男を心配する博とさくらはその後に旅に出た彼にもやきもきさせられるのだ。
佐賀の宿屋で相部屋という偶然過ぎる展開もなかなかいいものですが、両親の気持ちはほったらかし。浪人という人生の境目でもある時期なだけに、一人旅によって成長する満男の姿には共感できる。旅の途中に笹野高史演じるゲイに迫られるシーンもこのシリーズでは新しいことかもしれません。
佐賀についてからは、泉(後藤)の叔母である壇ふみに一目ぼれしそうになったけど、高校教師の尾藤いさおという夫がいた。突然バイクでやってくる青年なんて不良なんだと決めつける夫と、それを嗜める妻。帰り際に改まって反論する寅さんの「誇りに思ってる」という言葉がとても良かった。ケンカにならなくて本当に良かった。
満男と泉の別れのシーンでは「軽いノリでアイ・ラブ・ユー」と言ってキスしようとするが、フルフェイスのヘルメットがいずみの額に当たる・・・これは寅さん2世を感じざるを得ない。
青春恋物語としては面白いのだが、笑える場面が少ないのが残念。一番面白かったのは、満男が無事に帰ってくるときに、何かバイクのコンテストに優勝でもしたかのような凱旋帰宅だったところだろうか。寅さんの破天荒な旅もいいが、単独ツーリングもなかなか。車で旅に出たくなった。
いつも、共感ありがとうございます。ネガティブなレビューばかりで、大変に恐縮しています。
素晴らしい映画に出会える事を願っています。
今後とも、よろしくお願いいたします。
追記
色々な事で大変だと思いますが、たまには映画でも見てみたらいかがでしょうか。