男はつらいよ 寅次郎心の旅路のレビュー・感想・評価
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タイトルなし(ネタバレ)
大変にもったいない映画だ。
美術史美術館に行かないなら、大観覧車位行かなけりゃ。
ドナウ川は支流だったら泳げる。
ウィーンへ行ってまで、カップラーメンを食するのは貧困過ぎる。
この映画上映時は、まだまだ日本人は認知されていた。現在は『アーユーチャイニーズ?』若しくは『アーユーコリアン?』である。そうさ!『私は恥ずかしきジャパニーズなり』
ボン・ヴォヤージュ♥
【”Danke!"寅さん、生きる事に疲れたサラリーマンとウィーンに行くの巻。寅さんは外国の方とも日本語でコミュニケーションが取れちゃうし、海外で働く美しき添乗員も元気にする素敵な日本男子なのである。】
ー 今作は、飛行機が大嫌いな寅さんが、仕事に疲れ自殺を図ろうとした青い顔をした男(柄本明)のために、彼の憧れの街ウィーンに一緒に行き、彼の心の病を治す手助けをし、現地で観光ガイドとして働く美しき女性久美子(竹下景子)にも、笑いを与える海外でも漢気ある姿を可笑しく描いている。
それにしても、純和風の寅さんを良くぞ、ウィーンを舞台に描いたモノである、と思ったら、当時のウィーン市長が寅さんを機内で観て気に入っての招聘だったそうである。
寅さんの面白さは、国境を超えるのであるなあ。-
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・寅さんが、慣れない外国のウィーンでも日本語でドンドン会話し、それが通じちゃうシーンが可笑しい。けれども、ある程度の会話であればホントに通じちゃうのである。
コミュニケーションとは言葉が通じなくとも、その人の人柄で何とかなるのである。ホントだよ!
・そんな寅さんが、ウィーンのカフェでクロワッサンをクンクン嗅いでも、食べられなくってお腹が減って、且つて久美子を助けた日本人マダム(淡路恵子さん。今作でも流石の貫禄である。)の家で鮭茶漬けを御馳走されるシーンが良かったな。(食べる所は映されないが、何だか良いシーン。)
異国の地で同胞を助けるマダムの優しさ、懐の大きさを淡路恵子さんが見事に演じている。
序でに言うと、外に出れなくってホテルの中で梅干しを蓋にして、カップラーメンを作る寅さんの情けない姿も、何だか可笑しい。
・久美子を演じた竹下景子さんも相変わらず、美しい。この方は矢張り知性があり気丈な役が有っていると思う。
それにしても、昔の日本の大会社って、女性が結婚すると退社勧告をしていたなんて、酷い話である。久美子が結婚しようとしていた男も、”僕の将来が駄目になるから、辞めてくれ。”何て良くも言ったモノである。(映されないけれど。)
そんな情けない男とは、別れて正解である。
・久美子のウィーンで出会ったボーイフレンドが、日本に帰ろうとする久美子を空港まで追って来て、抱きしめるシーンは良かったな。
<今作は、寅さんシリーズでは珍しい外国をメイン舞台にした作品であるが、寅さんの生き方には一点のブレもなく、困った人にはトコトン優しく、面倒を見る日本男児の鏡である寅さんが見れて嬉しかった作品である。
それに、竹下景子さんも淡路恵子さんも柄本明さんもとても良かったな。演者が巧いと、作品が良くなる典型みたいな作品でもある。>
意欲作だと思います
ロケーションが初の海外という一作。
寅さんは飛行機に死んでも乗りたくないくらい嫌いなはずだったのに、このあたりはあっさりスルーして渡航してしまうのは面白い。ウィーンという場所がありきの撮影で、内容的にはあまり評価されていない作品のようですが、バブル絶頂のころ、海外が身近になった時代の作品ということで、またそれも世情を反映していていいと思います。
寅さんはほとんどホテルにこもっていたのがちょっと残念で、露天行商の一つでも挑戦してみてもよかったかもしれません。マドンナは竹下景子だけれど、もはや年の差が親と子くらい離れている感じで、失恋というには無理があったかな。でもドナウ川川辺で人生相談に乗ってあげるのは寅さんならでは。最後に柴又の実家に、竹下景子ではなく柄本明が訪問して、写真を届けることで実家の面々が寅さんの行動を知る、っていう展開もおもしろいです。
神父様に対し「御前様」と手を合わせるところはクスリと笑いました。
寅さんが、バブルの絶頂期に教えてくれたこと
1989年8月公開作品、第41作
時はバブル真っ盛り、ほぼピークの頃
タイトルの心の旅路とは、1942年のマーヴィン・ルロイ監督の名作映画「心の旅路」からの由来であると思います
第一次世界大戦の戦傷で記憶喪失に陥った男とそれをなんとか思い出さそうと努力をする女の映画です
つまり心の病が本作のテーマです
この年は♪24時間働けますか?~なんて、CMが話題になりました
バブルの超好景気で、やればやるほど面白いくらいに成果が上がる時代でした
だから残業代だって青天井で支払われ、サービス残業なんてどこにもなかったのです
本給より残業代の方が多かったこともあったぐらいです
上役連中は毎晩接待だとか口実つくって連日連夜、会社の経費で飲み歩いていました
我々下っ端連中は経費では飲み歩けませんが、残業代で懐は暖たかいので、連日深夜まで残業してから、みんなで繁華街に繰り出して飲んで騒いではタクシーで未明に帰宅したりの日々でした
まさに♪24時間働けますか?のCM の栄養ドリンクが必要な時代だったのです
その一方で、過労死とか、劇中で博が言うように、心身症とか、鬱病とかも社会問題となってきていた年でもあったのです
寅さんとは真逆の真面目一方の人はこうなってしまった時代だったのです
本作では坂口がそうなった姿を紹介しています
そしてもうひとり久美子もそうです
当時は一部上場企業でも女性は結婚退職の強要が良くありました
今ならものすごい大問題になり社会的バッシングを受けるでしょう
彼女は、それが原因で全て嫌になって、仕事も結婚も投げ捨ててウィーンに来て孤独に暮らしているという設定です
金持ちの日本人未亡人のマダムに出会わなければ転落真っ逆様だったでしょうし、今はヘルマンという青年と結婚するうな、しないような宙ぶらりんです
演じる竹下景子と同じ36歳としたなら、ずるずると数年も過ぎさればどうなるとも知れません
寅さんが現れなければ数年後には、帰りたい気持ちで気が狂いそうになっていたでしょう
本作は、この二人の心の旅路の物語だったのです
バブル絶頂期ですから、海外旅行も大ブームでした
それもそれまでのグァムやハワイ、米国西海岸といった近場ではなくて、米国なら東海岸、そしてヨーロッパです
それもパリ、ロンドン、ローマだけから、その先ウィーンまでが人気になりました
この間までの中国人を上回るような羽振りの良さで、シャンゼリゼのお店で棚の端から端まで買う「棚買い」という言葉まで生まれました
ウィーン市長が寅さん好きで云々は後付けの理由でしょう
オーストリア航空が成田ウィーン直行便を開設したのは本作の直前のこと
金を持っている日本人をどんどんウィーンにきてもらいたかったのです
日本人に一番人気のある映画シリーズのロケ地にすれば効果は抜群間違いなしでしょう
映画も、テレビドラマも、バラエティー番組だって、バブル時代は海外ロケがやたら多かったのは確かです
寅さんシリーズも同じことかも知れません
山田監督もそんな申し出があったら、「嫌だけど
、しかたないなあ~」と実は喜んでその話に乗ったのではないでしょうか
とは言ってもそこは山田監督
理由がなければウィーンまで寅さんを行かせられません
柴又とウィーンが似ているなんて、無理やりな理由ではありません
ウィーンは誰もが知る芸術の都
モーツァルトやシュトラウスの音楽、クリムトなどのウィーン分離派の絵画、シェーンブルグ宮殿などの様々な様式の建築
寅さんとは真逆の人が憧れる街でしょう
それはどんな人?
ということで、このテーマが選ばれて、物語が定まって行ったのだと思います
もちろん、「第三の男」とか、「会議は踊る」のオマージュもあります
特にマダムの死別した夫の遺影は「第三の男」のオーソン・ウェルズのプロマイドです
シーンの切り替わりの時、一瞬だけマンドリンの音色がしてニヤリとします
結末は、もちろん心の旅路を終えた二人は元気を取り戻します
寅さん?
フラれたショックで、やっぱりしばらくボケーっと寝込んでしまうのですが、すぐに元気になって商売の旅に出て行くのです
会社なんて自分がいなけりゃ潰れてしまうのか?
寅さんの劇中の言葉です
このあとバブルは下り坂となり、遂には崩壊してしまいます
やってもやっても成果は上がらす
給与水準は切り下げ、残業はセーブ
果てはサービス残業なんてことまで横行しだします
それが20年以上続いて今の世の中になったのです
自分の身体や精神の健康が一番大事です
会社の為にそれを壊してまで働くことなんてないのです
会社は最後まで面倒見てくれる訳はないのです
最後に残るのは家族だけです
寅さんがバブルの絶頂期にそれを私達に教えてくれたのです
蛇足
劇中で坂口が美術館で見る絵画2点はブリューゲルでオランダの画家です
調べてみるとウィーン美術史美術館に所蔵されていました
数年前にブリューゲル展が日本で開催されて、鑑賞できました
男はつらいよのシリーズも この頃になると 山田洋次監督が何を描きたいのかなあ と思ってしまう。
寅さん作品の中では佳作と思う。竹下との絡みはあったけれど、ふられる...
寅さん作品の中では佳作と思う。竹下との絡みはあったけれど、ふられるシーンが露骨だ。
あれでは寅さんが可愛そうだ。それより柄本とウィーン美女との話がもっと見たかった。
彼はあのまま別れてしまったのか?気になるところだ。
その柄本もウィーンに来た途端、寅さんを邪魔者扱いするなど、手のひら返しが露骨である。
とはいえ寅さんはいつもの寅さんで海外でもそれは変わらないのがよかったです。
柄本明とイッセー尾形
寅次郎、海を渡る‐芸術の都物語‐
「男はつらいよ」シリーズ第41作。
Huluで「HDリマスター版」を鑑賞。
寅さん、海外へ行く!
自殺未遂をした男・兵馬と知り合った寅さんは、彼のわがままを聞いている内に、あれよあれよという間にウィーンに行くことになっちゃった! 「あっ、湯布院だろ? あそこは温泉がいいんだ」…湯布院じゃなくてウィーンだよ、寅さん!(笑)
ウィーンに行っても面白くも何とも無い寅さんは、偶然出会った美人のツアーガイド・久美子に一目惚れしてフラフラと着いて行ったはいいけれど、帰るホテルが分からず迷子に(笑) 成り行きでツアーに参加して兵馬をほったらかすのでした(笑)
初海外ロケということで、観光映画たるシリーズのもうひとつの側面がこれでもかと炸裂しておりました。
外国でも相変わらず寅さんはマイペース。高いコミュニケーション能力で言語の壁さえも越えてしまう…。
今回も失恋してしまうけれど、寅さんと出会った女性たちはどんな形であれ幸せになってんだよなぁ…。
【余談】
レビュータイトルですけど、西村京太郎「十津川警部、海を渡る‐春香伝物語‐」という小説のタイトルをもじってみました(笑) 理由は特にありません(笑)
美しき故郷の心寅次郎
シリーズ41作目。
平成最初の寅さん。
今作もOPの夢はナシ。旅先で風邪を引いた寅さんの元に、さくらから手紙が届く。
みちのくのローカル線に乗っていたら、緊急停車。
一人の中年男が発作的に自殺しようとしたのだ。
サラリーマンの坂口。会社勤めに疲れ、所謂うつ病。
こういう人物の面倒をついつい引き受けてしまう寅さん。
自由奔放で大らかな寅さんにすっかり懐く坂口。
何処か行きたい所はあるかと訪ねてみたら、一度行ってみたい所があると言う坂口。
一緒に行ってやると安請け合いしたけれど、そこは何と…
ウィーン!
後日くるまやに旅行会社の人が訪ねて来たりして大わらわ。
さくらたちの反対もあって出発当日になって行くのを断ろうとしたけど、
結局色々あって、
やって来ました、まさかの本当にウィーン!
アメリカ人がゲストで柴又に来た事はあるけど、シリーズ初の海外が舞台。
日本中あちこち旅して来た寅さん、遂に海外へ!
何故今回ウィーンが舞台になったかと言うと、寅さんを見てファンになったウィーン市長の招待を受けての事だとか。
それに応えるかのように、ウィーンの美しい風景は言うまでもなく見所。
数々の観光地、名所、かの有名なドナウ川(勿論『2001年宇宙の旅』でも知られるあの名曲も)…憧れるね。
しかし寅さん、せっかくウィーンに来たのに、文化や芸術に全く興味ナシ。呆れる坂口。
ウィーン市街をいつもの格好と下駄で歩き、ドナウ川を江戸川に例え、神父さんを御前様と呼ぶ。
ウィーンに行っても変わらぬ寅さん。そのギャップが笑える。
そして、美女に惚れる。
坂口とはぐれ、迷子になった所を、ウィーンで日本人観光客のガイドをしている日本人女性、久美子と知り合う。
すっかり意気投合。久美子の事情を聞くと、日本で会社や男関係でうんざりし、衝動的にウィーンへ。苦労もあったが、ウィーンで長年暮らしている日本人マダムに助けられたりして、もう8年。
竹下景子が3度目のマドンナ。3度マドンナを演じた中で、(個人的に)本作が一番いい女に感じる。
久美子と親しい日本人マダムに、淡路恵子。長年海外で暮らしているマダム感はハマり役。このマダムがウィーンに永住を決めた理由もカッコいい。
寅さんに振り回される坂口役に、柄本明。コミカル演技は言わずもがな。
竹下と淡路は『知床慕情』、柄本は『あじさいの恋』、今回のメインゲストは以前にも出演経験あって安定感。
海外舞台は新味だが、話自体はいつもの寅さん。
久美子にはウィーンに恋人が。別れ話が持ち上がり、久美子は寅さんと日本に帰る決意をするが、空港にその恋人が追い掛けて来て…と、フラれる。
所変われど、中身は変わらない事こそ寅さん。
ウィーンでもスタイルは貫き通し、久美子は寅さんと会って日本の故郷を思い出す。
いや、より一層、日本人の心や故郷をしみじみ感じさせてくれる。
柴又に帰って来て土産話をするが、いつもの日本の旅と変わらない。
結局、何処行っても出会いや人情は同じ…?
と言うか、そもそも本当にウィーンに行ったのか…?
ひょっとしたら、夢ではなかったのか…?
そんな時、寅さんの口から一言。
「ダンケ!」
やっぱり、ウィーンに行ったんだ!
このラストもユニーク。
サブエピソードながら、本作では大学受験に失敗し浪人生になっているなど、描写が毎回印象的になって来ている満男。
次作からはいよいよ、満男がメインの話に!
よかった
寅がウィーンに行く。しかし日本人としか交流がなく、結局国内とあまり変わらないのではないだろうか。竹下景子に「おばさん」と呼ばれていた淡路恵子がかっこよかった。寅がなぜ、あんなに強く竹下景子に帰国を勧めたのか、意味がよく分からない。本人なりに考えがあって、ウィーンで暮らしを立てているだろうし、ひどくお節介に見える。
柄本明が寅を慕っていたのに、ウィーンに行ったら途端に厄介者扱いしていて、正直だし露骨だ。
男はつらいよもいよいよ平成に。が、残念ながら私が見た中では最も面白...
新時代の恋愛模様が観れました
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