「開放的な沖縄で英気を養う寅さんとリリーの三度目の正直なるかの、男と女のお話」男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 Gustavさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5開放的な沖縄で英気を養う寅さんとリリーの三度目の正直なるかの、男と女のお話

2022年7月26日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、映画館

“寅さんシリーズ”を作り続ける山田洋次の監督術は少しも衰えることが無い。それが幸いしてか、相変わらず寅さんの身の振りようも、いつもと同じで、変わらない寅さんをどう見せるかに工夫と苦労が窺える。それでもマドンナに最も相性の良い浅丘ルリ子を迎えた今作は、舞台を沖縄にして開放的で楽しい喜劇映画に仕上げている。キャバレー歌手リリーと寅さんが、今度こそは本当に所帯を持つのではと思わせつつ、結局は自由人としての寅さんに戻る第25作品目。特筆すべきは、沖縄の暑さを大袈裟に表現して爆笑を誘うのと、飛行機嫌いの寅さんのドタバタ劇。勿体ないのは、江藤潤ら沖縄の人々の話がルーティン通りに終わっていること。ここがもっと練られていれば傑作になったと思う。後半の渥美清と浅丘ルリ子のやり取りは流石に安定感がある。

  1980年 8月12日  銀座文化1

Gustav