劇場公開日 1977年8月6日

「寅さんと嵐寛寿郎、三木のり平のやり取りが愉しい渋めの”男はつらいよ”」男はつらいよ 寅次郎と殿様 Gustavさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0寅さんと嵐寛寿郎、三木のり平のやり取りが愉しい渋めの”男はつらいよ”

2021年7月8日
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鑑賞方法:映画館

四国愛媛の大洲を舞台に、かつての藩祖の子孫である”殿様”と寅さんのお付き合いを滑稽に描いたシリーズ第19作。ゲスト出演の日本映画の時代劇スター嵐寛寿郎が、現代版殿様の威厳を飄々と演じている。その執事吉田役にはベテラン喜劇役者の三木のり平が務め、マドンナの真野響子も含め渋いキャスティングだ。この執事が長居をする寅さんを、時を見計らって帰させようと進言するのが可笑しい。殿様一人の世話でも大変な執事の役を三木のり平が好演している。だが”殿様”はいい話し相手が出来て寅さんを離さない。この執事と寅さんの設定が後に変化するところを含め、三人の場面は安心して楽しめる。残念なのは、マドンナと寅さんの関係が描き切れていないことと、筋立に不自然さが残る脚本である。冒頭の鯉のぼりのエピソードや野良猫にトラと名付けていることを知った寅さんが機嫌を損ねるところなど面白いシーンもあるが、肝心のマドンナの魅力が弱い。真野響子をもっと生かしてもらいたかった。

  1978年 4月3日  郡山松竹

Gustav