「【粗にして野だが卑ではない男、寅さんの弱き人への優しさが溢れた逸品。知的障害を持つ青森の少女がマドンナと言う今までにない設定と彼女の先生を演じた田中邦衛さんの姿も嬉しき作品である。】」男はつらいよ 奮闘篇 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【粗にして野だが卑ではない男、寅さんの弱き人への優しさが溢れた逸品。知的障害を持つ青森の少女がマドンナと言う今までにない設定と彼女の先生を演じた田中邦衛さんの姿も嬉しき作品である。】
■柴又に寅次郎の母・菊(ミヤコ蝶々)が訪れるが大ゲンカとなり、寅次郎は再び旅に出てしまう。
彼は紡績工場へ出稼ぎにきていた花子(榊原るみ)と出会うが、津軽に帰りたいという彼女にとらやの住所を渡す。
その後、花子は「寅さんのお嫁さんになりたい」と柴又にやって来る。
◆感想
・冒頭、青森から集団就職する学生たちに寅さんが”困ったら、柴又の寅屋に来いよ!”と励ましの言葉を掛けるシーンから始まる。
寅さんの善性が溢れているシーンであると思うし、作品構成を見ても巧いと思う。
・花子を演じた榊原るみさんは、どこかで拝見した記憶があるが、多分(この時点で)一番若いマドンナだと思う。ハイトーンの歌声が美しい。
・花子は寅さんやとらやの人達に大切にされるが、東北の学校の先生(田中邦衛)が引き取りに来る。このシーンでの田中さんの演技(朴訥とした、口調も良い。)が、花子のことを心から心配し、大切に思っている事が良く分かるのである。
<今作の再後半では、寅さんからの寂しげなハガキを読み、心配したさくらが青森に行くが、花子の元気な姿を見て安心し、ラストは元気そうな寅さんがバスに乗って来ることで終わるのだが、山田監督の脚本(当時は、”原作”とテロップに出るのが新鮮。)が今作でも冴え渡っているのである。>
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