続男はつらいよのレビュー・感想・評価
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瞼の母を落語に。1930年の作品をリスペクト♥
これも消されているが、何も見るものがないので、日本でダウンロードして来た『ダウンロード済み』で見ている。
この映画の製作者達は『進歩的なリベラリスト』と言う立場で、学歴の無い一般庶民の愚行を、俯瞰する様相を終始やめない。そして、
とどのつまりがそれか?!
とおののいてしまう。
『リベラリストなんだから』と全権委任で鑑賞していた頃もあった。しかし、この年齢になって、本当の庶民の現実を知って、それを体験するとこの映画は虚寓話に見えてくる。
良いとか悪いとか言わないが、こう言った映画達によって、昭和40年以降の日本映画は、骨抜きにされて行った気がする。
勿論、現在の日本映画のメインストリームである事は言うまでもない。
しかし、
1930年の長谷川伸作『瞼の母』を『子別れ』の如く落語化したストーリー展開である。つまり、戦前の大衆文化を焼き変えたと言える。
昭和の臭いのする江戸時代なのである。
そして、残念な事だが、令和になった今でも
日本人はこう言った映画がお好きなようだ。
追記
『お菊』は落語版の『番町皿屋敷』だネッ♥
瞼の母との再会!が、しかし…
"男はつらいよ" シリーズ第2作。
Huluで鑑賞。
ひょっこり柴又に帰って来た寅さんは恩師の坪内先生と再会し、ひとり娘の夏子に一目惚れして大騒動。胃痙攣で入院するも病院を抜け出して焼き肉食ってんだから仕方のねぇ男。さらには店主と喧嘩して警察に補導されちゃうんだから、呆れたもんだよ。めちゃくちゃ寅さんらしいけど(笑)。
寅さんが赤ん坊の頃、とらやの軒先に彼を置いて出奔した母親。瞼の母と慕い、ずっと探し求めていた寅さんなのでした。
京都にいると聞きつけて行ってみると、夢にまで見た母は連れ込み宿の女将を務める強突クソババァと化していました。
ミヤコ蝶々の演技が素晴らしい。理想の母親から駆け離れていただけでなく、酷いことまで言われてしまう始末。
夢破れて傷心の寅さんを傷つけまいと、「言うなよ、絶対言うなよ!」的なフリで始まったコントが笑えました。
そんな寅さんを励ましてくれた坪内先生が突然の逝去。寅さんに江戸川の鰻が食べたいなんて言ったのは、きっと虫が知らせたんでしょう。悲嘆に暮れるも御前様の言葉で一念発起、張り切って葬儀のお手伝いをするも、その席で夏子にお医者さんの恋人(しかも胃痙攣で入院していたときの担当医!)がいることを知り、またまた失恋してしまうのでした。
旅に出た寅さん。何をしていたかと言えば、京都で母親と会っていたのでした。どんなに酷かろうと血肉を分けた母と子。なんだかんだでお互いに思うところがあったんだなぁ…
[余談]
冒頭の夢のシーンが初登場。
シリーズのお約束事が増えて参りました。
※修正(2023/09/10)
定番とお約束、一期一会、ミヤコ蝶々に御前様の名台詞…続・名作!
言わずと知れた映画史上屈指の長寿シリーズ。
第1作目のレビューでも書いたが、自分にとってはゴジラシリーズと同じくらい大切なバイブル的作品。
シリーズ全48作、何度見た事か。
渥美清の死でシリーズが終了して、もう20数年…。
寅さんを好きになってから、映画館で観る事は一生出来ないと思っていたら…、50年の節目の今年、まさかまさかの新作が!
年末が待ち遠し過ぎるッ!
公開まで今年一年かけて、シリーズ全作を改めて再見&夢だった全作レビュー!
仕事やプライベートが忙しくなって、鑑賞やレビューが途中で中断するかもしれませんが…。
第1作目は、2000本目の記念レビューとして以前書いたので、本作から。
1作目の好評を受けて、僅か3ヶ月後に公開されたシリーズ2作目。
第2作目の大きな注目点は、2つ。
まず一つ目は…
寅さん、生き別れた実母と再会する。
商売仲間からの情報で、京都に実母が居る事を知った寅さん。
柄にも無く照れ臭いのか最初会うのを渋るが、会いに行く。
会いに行った先は、ラブホテル。経営者らしき意地悪そうなクソババアにこき使われてる優しそうな初老の女性…。
もし、人違いだったら御免なさいよ。あなたは俺のおっ母さん…?
そう、おっ母さん。優しそうな初老の女性じゃなく、クソババアの方が。
期待外れの再会。
しかも、感動一つも無い所か、「金の無心に来たのかい?」とまで冷たく言われる。
怒りと悲しみをぶつける寅さん。
そんな寅さんを産んだ実母なのだから、性格は言うまでもなく。啖呵切って言い返すほど強気。
期待外れの再会ではなかった。最悪の再会。
会うんじゃなかった。夢で瞼の母を見ていた方が良かった。…と、寅は去る。
寅が去った後…。やはり腹を痛めて産んだ我が子。複雑な表情を覗かせる…。
渥美清が霞むほど、ミヤコ蝶々が場をさらう圧倒的な存在感と名演。
本作を見た時いつも思うが、凄い人だ。
傷心のまま柴又へ帰る寅さん。
気を遣うとらやの一同。“お母さん”とか母親を連想させる言葉は言っちゃいけないと。
ところがところが…(笑)
この“絶対言っちゃいけない”もシリーズ後の定番。
注目点2つ目は、恩師と再会する。
子供時分によく怒られていた英語の先生。歳は取ったが、まだまだご健在。
怒られた腹いせに先生のハナタレ娘をよくいじめていたが、今は麗しい美人に。(マドンナ・佐藤オリエ)
いつもながら一目惚れ。
先生とマドンナの厚意に甘えて、ちょくちょくお邪魔する。
毒舌で、面と向かって寅に「お前はバカだ」と叱咤する先生。
しかしその言葉には厳しいながらも愛があり、結果はどうあれ、母親との再会を後押ししてくれた。
酒を呑むのも好き。
寅と会うのが楽しみとなり、寅さんもまた、先生は勿論、マドンナと会うのが楽しみに。
暫く経ったある日…。
先生が体調を悪くして、芳しくない。
江戸川で釣ったうなぎが食べたいと、寅に頼む。
釣れるか釣れないか分からないものを渋々引き受ける寅さん。
まさかまさか、釣れた!
大喜びで先生の家に戻るが、すでにもう…。
親しい人との死別もシリーズでは今後よく描かれる。
人生は一期一会。
出会いと再会。交流。そして…
お葬式。
マドンナは弔問客の相手をするが、寅は部屋に閉じ籠って泣いてばかり。
そんな寅を、御前様が叱咤激励する。
「悲しいのは誰も同じだ。
しかし、一番悲しいのは、一番泣きたいのは、あの娘さんだ。
その娘さんが涙一つこぼさずきちんとしているのに、お前は何だ。それでも男か。
こういう時こそ、お前がしっかりせんといかんのじゃないか。
それぐらいの事が分からんほど、バカではなかろう」
御前様だから言える台詞。
この叱咤激励を受けて、寅はマドンナの代わりに葬式を取り仕切る。
個人的に御前様のこの台詞は、シリーズでも屈指の名台詞だと思っている。
弔問客に意外な人物が。
冒頭、寅がいいもんを食い過ぎて胃痙攣を起こして緊急入院した病院の先生。若いインテリで、寅とちょっと揉めた。
単なるポッと出の脇役キャラかと思いきや、いつの間にやらマドンナと…。
寅さん、ばったりその場に遭遇してしまい…。
演じたのは山﨑努。若い訳だ。だって、50年前だもの。
ラスト、マドンナはこの医師と結婚し、新婚旅行は京都へ。
そこで偶然目撃したのは…。
最悪の再会だったけど、やはり実の母子。心暖まるラスト。
松竹ロゴにお馴染みのイントロ。
寅さんの夢から始まる。
シリーズ中盤から完全に定着した始まり方の最初の作品。
前作がシリーズのスタイルを確立したのならば、本作はシリーズ後の定番やお約束がふんだんに。
2作目にして、もうこの安定感!
そこに加え、笑いと涙の一期一会、御前様の名台詞…。
この2作目も、1作目に劣らぬ名作!
とてもよかった
寅が生き別れのお母さんと会う。さくらがもう母親になっていた。ヒロインの佐藤オリエさんの「とらちゃ~ん」と呼びかける声がとてもかわいらしかった。今回も旅先が京都だった。冒頭で当たり前のように蒸気機関車がバックしていた。
蝶々さんかっこいい
ミヤコ蝶々は寅さん以上の存在感。男女の差の問題ではなくて、これはやはり人生経験でしょう。寅さんというか、渥美清も蝶々さんには勝てない。
でも、蝶々さんは言葉の端々に純情さを感じます。お婆さんといってよいような年なのに(失礼)。そこはすごいです。気持ちは持ちよう、というのは本当だと思います。
蝶々さんはその気持ちそのものの役柄です。この人を寅さんのマドンナにすればこの映画も変わったでしょう。寅さんの母親は似合いません。
蝶々さんこそ生涯現役です。その魅力を日本の芸能界(上方芸能界)は十分に生かせないで終わったと思います。残念。
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