「瞼の母との再会劇を笑いの渦に転換した喜劇映画の勢いと充実度」続男はつらいよ Gustavさんの映画レビュー(感想・評価)
瞼の母との再会劇を笑いの渦に転換した喜劇映画の勢いと充実度
第1作の勢いそのままに、爆笑を誘う喜劇映画の佳作。寅さんの恩師坪内散歩(逍遥を捩ってる)役に東野英治郎、医師藤村に山崎努、そして小さい時に生き別れた母親お菊役がミヤコ蝶々と、キャスティングが素晴らしい。恩師の娘役でマドンナの佐藤オリエの清楚な佇まい、患者役で特別出演の財津一郎の滑稽さもいい。その中で、寅さんのイメージを更に強固にしたお菊を演じるミヤコ蝶々の嵌り具合と、その一寸擦れた感じの中年婦人の手慣れた演技に最も感心してしまった。寅さんが夢に見る優しい母親像を壊し、その落差にユーモアを出す難役ではないか。それを見事に熟している。作品一番の爆笑ポイントである、とらやに意気消沈帰った寅さんを皆が気づかい腫れ物に触るように接する場面の可笑しさ。当時のテレビコマーシャルを生かした笑いの破壊力が、もう上質のコント劇になっている。このような場面でのおいちゃん森川信の味がある演技も素晴らしい。
前作「男はつらいよ」の公開から3ヵ月未満で制作された早撮りとは思えない充実した喜劇作品。
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