「大概の女は、旦那さまのほんの一部しかみていないのよ」お茶漬の味 shimoさんの映画レビュー(感想・評価)
大概の女は、旦那さまのほんの一部しかみていないのよ
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映画「お茶漬の味」(小津安二郎監督)から
今まで観た「小津作品」の中では、最高傑作、
メモをしながら、そう感じたことを、まずはご報告。
冒頭(修善寺の旅館)とラスト(自宅)にセットされている
女性同士の雑談シーンが印象的だった。
特に、夫が海外単身赴任しているのを羨ましがり、
「うちの旦那さまもどっか行っちゃわないかなぁ、遠いとこ」
と言う何気ない台詞が、最後になって「なるほど・・」となる。
今まで食べ方さえ気に入らなかった「お茶漬」を、
深夜に夫婦2人で食べて、はじめて夫の気持ちに気付くシーン。
翌日、夫が海外へ旅立ち、いつものように女性同士の会話。
しかし、もう夫を小馬鹿にしたような表現はなかった。
「でも男って複雑ね。女なんて家にいる旦那さましか知らないんだもの。
家にいる旦那さまなんて、甲羅干してる亀の子みたいなもんよ。
あれで外へ出りゃ、結構、兎と駆けっこしたり、浦島太郎乗せたりすんのよ。
大概の女は、旦那さまのほんの一部しかみていないのよ」
家でのっそりしている様をみて、夫を亀に例えたうえ、その亀も、
よく考えれば「昔話」の中でも意外と頑張っていることに気付いた。
この妻の気付きは、夫婦にとってとても大切なことだと思う。
「男の人って、頼もしさっていうのかしら。それが一番大事なの」
この台詞って、なかなか言えないから輝くんだなぁ、きっと。
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