劇場公開日 1976年10月2日

「軍事マニアだけでなく、特撮ファンも観てない訳にはいかない作品」大空のサムライ あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0軍事マニアだけでなく、特撮ファンも観てない訳にはいかない作品

2021年2月25日
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鑑賞方法:DVD/BD

元ゼロ戦エースパイロット坂井三郎の自伝の映画化したもの
大昔、その原作を貪るように読んだ記憶が蘇った

内容はその自伝の内、対米戦争に突入しラバウルに進出してから、ガダルカナルの戦いで被弾し奇跡的に帰還するまで扱っており、概ね原作に忠実に手際よくまとめられている

自伝を読んだ当時は、彼のことをあまり知らずこの自伝をそのまま信じ込んでいたので改めて、近年の彼の評価を調べてみて驚いた
というか残念な思いだ

64機撃墜というのも怪しいし、どこまで本当なのかも分からない
しかし20数機以上撃墜しているエースパイロットであることは揺るがないことだ

戦艦大和とゼロ戦は鉄板の人気アイテムであるから、昔からその二つの映画は多い
ゼロ戦ものをざっと思い出すままに挙げてみると

1963年 太平洋の翼
1966年 ゼロ・ファイター 大空戦
1976年 大空のサムライ (本作)
1984年 零戦燃ゆ
2013年 永遠の0

こんなところだろう
本作が軍事マニア的に満足できるのは本作が一番だろう
ゼロ戦の戦いを存分に観ることができる

なのに今では殆ど忘れられた作品になってしまっている
それはこの坂井三郎が戦後元部下が始めたねずみ講に関わりその宣伝塔になっていたこと
本作製作の大観プロダクションというのも、そのねずみ講が直接かかわるものであるからだろう

但し映画自体は全くねずみ講も胡散臭い宗教も全く関係はないので安心して観て頂ける

戦闘機が好きな軍事マニアなら、観ていませんでは肩身が狭い
是非観ておくべきだ

特撮ファンも、本作が川北紘一の特技監督としての初作品であることに注目すべきだ
平成ゴジラシリーズ、ミレニアムゴジラシリーズのファンを自任するなら、本作は当然踏まえていないいと、これまた肩身が狭い思いをするはず

DVDには川北紘一のメイキングについてのインタビューが特典映像に収録をされている

1976年の日本の特撮
モーションコントロールカメラによるスターウォーズの空中戦は1977年のこと
その1年前、川北特技監督はアナログによる特撮の頂点を示したと思う
100機に及ぶ大編隊の吊り繰演、ラジコン飛行機を高速度撮影する技法
どれも見事
これを観てないで特撮ファンとは言えないと思う

あき240