劇場公開日 1973年9月1日

「志垣太郎のウルフガイ〜松田優作・映画デビュー作」狼の紋章 Haihaiさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5志垣太郎のウルフガイ〜松田優作・映画デビュー作

2025年2月9日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

単純

1973年公開、配給・東宝。

【監督】:松本正志
【脚本】:石森史郎、福田純、松本正志
【原作】:平井和正〜ウルフガイシリーズ『狼の紋章』

主な配役
【ウルフガイ(人狼)・犬神明】:志垣太郎
【教師・青鹿晶子】:安芸晶子
【同級生・木村紀子】:本田みちこ
【悪のリーダー・羽黒獰】:松田優作
ほかに黒沢年男など

1.松田優作と志垣太郎のマッチアップ

◆松田優作24歳
◆志垣太郎22歳

松田優作は同年に『太陽にほえろ』のGパン刑事役でお茶の間の人気者になり、それをきっかけに日本に帰化した。

志垣太郎は、前年のNHK大河『新・平家物語』で源義経を演じて一気に知名度を上げた。

本作は志垣太郎が主役、松田優作が敵役だ。

松田優作はデビュー作とは思えない眼力と存在感。
志垣太郎のウルフガイもなかなか良い。
義経役の明朗さとの落差は大きく、
ニヒル、無口で陰気なヒーローだ。

2.昭和の学園バイオレンス

志垣太郎演じる犬神明は、転校初日から不良グループにロックオンされ、ひたすらリンチを受ける。
しかし、まったく反撃も抵抗もしない。

その態度が気に入らない松田優作(羽黒)は、どうすれば犬神を本気にできるか策謀を練る。。。
となれば、
だいたい、主役をサポートするヒロインが理不尽に凌辱されてしまうのが昭和だ。

どんな清楚な風情の役柄でも、映画の後半は、ほとんどを半裸か全裸の状態だ。

原作がどうなのか知る由もなく、
要は敵役をとことん悪者にするための「フリ」なのだが、いま、観るとゲンナリしてしまう。

3.原作者・平井和正

『幻魔大戦』、『エイトマン』などの原作者。
日本SF界のアイコンの一人だろう。
独特の世界観、本作にもほんの少しだが、それが反映されているように見えるシーンがある。

犬神を気にする女教師・青鹿が、犬神の部屋を訪れるシーンだ。
ドアを開けると、なぜか、大草原が眼前に広がる。
ファンタジーを感じる。

その青鹿も、犬神の殺された母とウリ二つという設定。
これも後の展開の伏線となる。

4.まとめ

良い意味でも、悪い意味でも、
典型的な昭和の学園バイオレンス。

松田優作のデビュー作、しかも悪役。
志垣太郎が演じる人狼もの、

という稀少性。
それ以外にはあまり言及するところはない。
☆2.5

Haihai