馬のレビュー・感想・評価
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邦画の退化を、嫌でも思い知らされる。
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いや、それほど大袈裟でも無いけれど。80年近く前の映画だってのに、我が国の映画はどれだけ進化してんだろう、って考え込まされてしまう。
藤原鎌足さんが、まだ鶏太を名乗られてた頃。監督/脚本の山本嘉次郎さんは、その後東宝の売れっ子になる方。黒澤明さんが製作主任を務め、主演は高峰秀子さん。まぁ、我が国のレジェンドの若かりし頃の作品になる訳で。高峰秀子さんは、俺の母親世代なんですけど、当時17歳。アイドル映画かと思うくらいに可愛い。三つ編みツインテです。で、ほぼノーメイク。衣装はモンペ地下足袋。これで、あんだけ可愛いんだから大概のもんです。
東北地方の寒村で農業を営む一家の長姉イネは、軍馬として法外な高値で売れて行く馬のセリ場面を目の当たりにします。馬を育てて売る事を夢見るイネ。妊娠馬を預かり、生まれて来る子馬を譲り受ける約束を取り付けます。
イネ一家が経験するアレコレは時代を映す鏡。文化も風習も風景も、ほぼ昔話の世界。家屋の中に馬小屋なんて、そうなの?そんなだったの?まじか?だもんで。
紆余曲折の末、2歳馬に成長した子馬は思惑通りの高値で売れ、借金完済、イネの紡績工の年季もキャンセルでハッピーエンドのはずなのに。
軍馬として買い取られた馬達は、日の丸の小旗を背に、馬子に引かれて行進して行きます。画は逆光。蹄の音は軍靴の音にも似て。手を掛けて育てた馬を軍馬として戦地に送る気持ちは、我が子を送り出す母親の気持ちと同じだったりして。
涙で馬を見送る高峰秀子さんの表情が印象的だった。
昔の日本映画って素晴らしい。色々と。かなり。
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