劇場公開日 1965年2月28日

「音子はつらいよ」美しさと哀しみと(1965) 梨剥く侍さんの映画レビュー(感想・評価)

1.0音子はつらいよ

2025年5月30日
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鑑賞方法:映画館

品性にもとる人物たちが延々と空疎な会話を交わしている映画。案に相違して、美しくも哀しくもない。比較的まともなのは上野音子ぐらいで、ただ翻弄されている。彼らの織りなす人間模様に途中でついていけなくなった。川端康成も思い当たる節がありそうだが、自分との交情を作品に書かれるとなると、作家の周辺にいる人々は気が気じゃないだろう。
八千草薫がレズビアンの役をどう演じるかと期待していたのだが、あまりあからさまなシーンはなかった。34歳の時の映画だが、回想シーンでは一瞬17歳(!)を演じる。八千草薫は「男はつらいよ 寅次郎夢枕」で彼女の方から告白して、寅次郎をうろたえさせるのが最高だった。
篠田監督の映画はこれまでも数々見てきたが、総じてあまり作家性を感じられない。いろんな原作を採り上げて映像化しているものの、そこに特筆すべき手腕は見出だせなかった。武満徹の音楽との相性もよろしくない。
劇中「ひと気のない嵯峨野はいいですね」という台詞があるが、今やインバウンドでごったがえして望むべくもない。

追悼上映にて鑑賞。

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梨剥く侍
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