「記憶を手繰る旅」さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち naichinさんの映画レビュー(感想・評価)
記憶を手繰る旅
今年初の映画はこれ。
「さらば宇宙戦艦ヤマト-愛の戦士たち-4Kリマスター」
かなり古い作品の為、ネタバレ有りの文章になってしまうので、ご注意ください。
1978公開のこの作品、大ヒットしたTVアニメ「宇宙戦艦ヤマト」の続編。前年公開された映画はTVシリーズを再編集した作品だった。今回は全編オリジナル長編。当時子供だった僕も、勿論、まだ見ぬ物語にワクワクして観に行きました。そして子供ながら、とても感動したのを憶えています。
それから何度観た事か。勿論入替え制ではなかった当時、2回観て帰った。リバイバルで前作と二本同時公開も観に行った。テレビ放送も幾度となく観た。まだビデオのなかった当時、音声だけを収録した「ドラマ版」LPレコードは何度も聴いた。
しかし、それも10代の頃のまでだと思う。今で言うマルチバース手法で続編が繰り返されるヤマトに、やがて気持ちは離れていき、おそらく大学に入ってからは一度も観ていないと思う。
そして今回、あの時の感情は何だったのか?確かめたくなり、久し振りに観賞致しました。それは、40年以上前の自分の記憶への旅立ちだった。
自分でも驚くくらい、鮮明に憶えていた。特にレコードで何度も聴いた台詞はそのまま甦った。
以下、思った事をツラツラと。
腐敗した地球はまるで「キャプテン・ハーロック」のよう。
ヤマトの発進シークエンスは、やはり熱くなる!
2時間半の間に完結に纏められたストーリー。
圧倒的な絶望感!
ラストは、悲壮感漂う筈なのに、何故か爽やかな明るい表現(ここはスゴい!)からの、無駄のないシンプルな表現、そして、何もない宇宙空間に、全てを包み込むような沢田研二さんの歌声!
そうか、実写映画に足りなかったのは、突っ込む時のこの表現と沢田研二さんの歌声だ!何故その後の地球を描いたのか?何故海外の曲を使ったのか?
最後に出てくる1文。「ヤマトを愛したみなさん〜二度と会う事はないでしょう〜」。その後、TVシリーズで生き残ってシリーズが続いた事に批判も集まったけど、当時の子供達が望んだ事も確かなんだよね。
歴史に残る作品と言うのは、いつも時代の奇跡が起こっている。やはりこの映画も、確かに時代を変える奇跡が起こっていた。
余談ですが、よくヤマトは特攻を美化しているっていう人がいますが、やはりそれは違うと思う。これは守る為に命がけで戦う人の姿を描いた作品だ。