劇場公開日 1956年1月29日

「二年前のゴジラに影響を受けたであろう核の平和利用がテーマ」宇宙人東京に現わる 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0二年前のゴジラに影響を受けたであろう核の平和利用がテーマ

2024年8月13日
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鑑賞方法:VOD

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監督は『銀座カンカン娘』『安珍と清姫』の島耕二
脚本は『赤穂浪士(1961)』『椿三十郎』『天下の御意見番』『待ち伏せ』『乱』の小国英雄

日本初カラー特撮映画
1956年公開の大映作品
反核兵器がテーマの1954年公開『ゴジラ』に影響を受けたのだろうか
パイラ人のデザインは岡本太郎
宇宙人というとそれまで地球人とほぼ同じ姿に描かれていたようだが初めて全く別の姿として表現されているそうだ
それがとても粗末な着ぐるみだが昭和31年当時の手探り状態の日本映画なら仕方があるまい
監督も脚本家もSF映画の専門ではなく全くの畑違いはそれだけ当時人材不足だったのだろう
それでも誰かが初めにやることになる
今の時代の感覚なら嘲笑を浴びる類の作品だが広い目で見て欲しいものだ
誰もやらなかったことに挑戦した心意気は買いたい

パイラ人が話す言葉はまるでお風呂の水の排水音のよう
字幕スーパーで補足
地球に優しい

宇宙人といえば地球侵略だがパイラ人は違う
「核兵器反対」「地球に激突する可能性が高い天体が近づいている」というメッセージを伝えるためにわざわざ
宇宙道徳らしい

この作品は核廃絶ではなく核の平和利用がテーマのようだ
矛盾しているようだが世の中そんなものだ
天体爆発のために世界各国の核兵器は全て活用されたようだがこれからのもしもに備えて核兵器は製造され続けるに違いない
今は原発事故も影響し反核一色だが教養が少しでもある人なら時代の違いをもう少し理解して欲しいものだ
実際にロシアやアメリカが核兵器全てを廃絶する可能性はほぼない
やはり現実は渋い
中に人が入っている丸出しのパイラ人やフワちゃん騒動以上に

配役
小村芳雄教授の助手の磯辺徹に川崎敬三
徹の父で生物学者の磯辺直太郎に南部彰三
透の母の磯辺徳子に目黒幸子
東京城北天文台の長として天体観測に勤しむ天文学者の小村芳雄に見明凡太朗
小村教授の娘で幼稚園の先生をしている小村多恵子に永井ミエ子
水爆より強力な兵器を製造できる物質を開発した物理学者の松田英輔に山形勲
英輔の妻の松田清子に平井岐代子
英語が堪能な天文台通信係にフランク・熊谷
ロケット打ち上げ顧問の博士の高島に河原侃二
帝国劇場のトップスターの青空ひかりに苅田とよみ
青空ひかりに似せて地球人の姿に変身し天野銀子と名づけられたパイラ人第一号に苅田とよみ
平野健一に小原利之
飲み屋「宇宙軒」お花に岡村文子
松田家の書生の三吉に渡辺鉄彌
パイラ人第二号に八木沢敏
パイラ人第三号に夏木章
パイラ人第四号に津田駿二
紳士振った男に斎藤紫香
船員に原田該
泥客に泉静治
芸者に花村泰子
用心棒に谷謙二
新聞記者の秀野に杉田康
警部に早川雄二

野川新栄