花の宴
劇場公開日:1967年12月23日
解説
「純情二重奏」の桜井義久と、「囁きのジョー」の斎藤耕一が共同でシナリオを執筆し、「レッツゴー! 高校レモン娘」の市村泰一が監督した滝廉太郎の半生のドラマ。撮影は「恋のメキシカンロック 恋と夢と冒険」の小杉正雄。
1967年製作/92分/日本
原題または英題:Falling Blossoms
配給:松竹
劇場公開日:1967年12月23日
ストーリー
明治三十年頃。滝廉太郎は激しい音楽への情熱を抑えることが出来ず、父の反対を押し切って九州から上京し、東京音楽学校に入った。勘当同然の身では仕送りもなく、廉太郎は苦学しながら音楽にうち込んだが、美貌の教師幸田延の励ましが唯一の心の支えであった。ある日、文部次官になった岩村専造のパーティに招かれて廉太郎はピアノをひいたが、これが縁で、彼は岩村の令嬢絢子の家庭教師をすることになった。二人は音楽を通していつか愛しあうようになっていった。そんな時、絢子に縁談がもちあがり、二人の仲を知った岩村は、廉太郎をドイツに留学させ、絢子を信州にある妻の実家に帰して間を裂こうとした。廉太郎はすでに新進作曲家として将来を嘱望されていたが、ドイツ留学を断り、信州に絢子を訪ねた。二人はお互いの強い愛を知り、二度と離れまいと誓った。そして冬山に迷って凍死寸前で助かった絢子と廉太郎を見た岩村は、二人の結婚を許さざるを得なかった。しかし、絢子には不安があった。病院のベッドで絢子の生命を案ずるより先に、楽譜に向かっていた廉太郎を見た絢子は、そのあまりにも厳しい音楽への情熱に、ついていけないものを感じたのだ。廉太郎はやがてドイツに発ったがわずか一年半で、胸を患って帰国した。盛大な出迎えの中に絢子の姿はなかった。絢子が結婚したと知らされた廉太郎は、孤独と音楽の中に没入していった。その年の終り頃、廉太郎が愛した従兄の大吉が死んだ。傷心の廉太郎は故郷に帰り、かつて絢子に頼まれていた土井晩翠の詩「荒城の月」の作曲に着手した。衰弱した身体に鞭打って小学校のオルガンに向う毎日がつづいた。そしてある日、廉太郎は鍵盤の上に突っ伏したまま、二十五歳の生涯を閉じたのだった。譜面台には完成した「荒城の月」の楽譜が残されていた。