歌行燈(1943)のレビュー・感想・評価
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山田五十鈴が可愛らしい
成瀬巳喜男監督による1943年の映画。
原作は泉鏡花の小説(1910)で、能芸道が人の生きざまに関わっていく話。
今から76年前の作品だった!戦時中なのに、のんびり映画を作ることができたのかと、少し心配になりました。冒頭の名古屋での能楽シーンがすごく長く感じて最後まで見られるかなと思いましたが、全体的にわりと淡泊で綺麗にまとまっておりました。
ただ、素人の謡手の宗山(そうざん)が、恥をかかされたぐらいで自殺してしまうのがちょっと納得できなくて、その後、記者が集まり、花柳をあっさりと勘当してしまうところも、やりすぎという感じもしましたが、時代的にはそんなものだったのか…?
知っている俳優は山田五十鈴さんだけでしたが、本当に可愛らしかった。芸者なのに三味線が弾けず、ちょっと心許ない感じ。竹久夢二が描く乙女にも似ていたような。能を舞い始めると、上村松園の舞姿の画にも重なっていきました。
森の中で1週間、お袖が舞の特訓を受けるシーンがよかったです。花柳が「1週間だけは、謡をさせていただきます」と、おとっつぁんに許しを請うため頭を下げているのですが、お袖がなんのことやらわからず、きょとんとしている姿が印象に残っています。勘当が解け、花柳の謡で、お袖が舞を披露するラストもよかったです。
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