浮草のレビュー・感想・評価
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賀原夏子さんのシミーズ姿が脳裏に焼き付いた。
空間芸術だね。
会話が交わされる空間を出来るだけ正面からとらえている。
出来ればオフ・ビートのまま終わってもらいたかった。昭和のちょうど真ん中の風物がよく分かる大衆演劇そのもの。映画の中で男が平気で女を殴る。その醜さが良くあらわせている。だから、商業的にうまくまとめてしまって、それが画竜点睛を欠くとかんじた。
僕としては
賀原夏子さんのシミーズ姿が脳裏に焼き付いた。
しかし、なんで松阪辺りなのに『南国土佐』なんだろう?ペギー葉山さんだなぁ。
セルフカバーは今ひとつ
本作は小津作品にしては毛色が違うな、なんか若々しいな、と思って鑑賞したいましたが、セルフカバーでした。もともと戦前に作ったやつをリメイクしたものとのこと。
だからか、やはり異質感ありますね〜。そもそもいきなり旅回り一座とその愛人と子どもの話という、アッパーミドル層大好きっ子の小津ちゃんらしくない舞台設定にびっくり。また、主人公の親方が歌舞伎の方なので、異様な迫力があり、観始めはぜんぜん馴染みませんでした。
登場人物もあまり馴染まず。京マチ子の下品な妖艶さが苦手で、うわ〜って感じでした。ケン月影のエロ劇画の熟女みたい。それだけ説得力があるんですが、またやってることがアホらしすぎる。
親方もあのタイミングでカムアウトしてもねぇ、なんて感じて物語にはさっぱり乗れず。
オチも、まぁ浮草って感じでしたね。
個人的に、小津ちゃん映画に期待するものは喪失を乗り越えて行く人間の偉大さとか、豊かな情緒的なつながりとか、その豊かさを奪い去るシステムへの怒りです。本作は物語もテーマもかなりありきたりで、私が好む小津ちゃんの旨味があまりなかったので、いまひとつに感じました。
まぁ、ベタ展開とベタなギャグは面白く、後半は退屈せず面白かったです。
終盤に杉村春子先生がついにカリスマ性を発揮し、めちゃ見応えありました。あと、三井弘次が良かったです。前から思っていましたが、声が超いいです。若尾文子は美しかったですが、キャラに命がなかったので、残るもの特になかったです。
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