上を向いて歩こうのレビュー・感想・評価
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ミュージカル的映画を期待したが・・・
1962年製作/91分/日本
原題または英題:Keep Your Chin up、配給:日活、
劇場公開日:1962年3月4日
音楽中村八大であり歌手坂本九のミュージカル映画を期待したのだが、普通の日活青春映画で、かなりガッカリ。坂本九が俳優同様の演技ができるのには驚いたが、もっと歌唱そのもので圧倒されると思っていたが、そういったことは残念ながらなかった。山田伸夫脚本のストーリー展開ももまあありきたり。
後に二百三高地や宇宙戦艦ヤマトを撮る升田利夫監督作だが
監督舛田利雄、脚本山田信夫、企画水の江瀧子、撮影山崎善弘、美術
木村威夫、音楽中村八大、録音沼倉範夫、照明大西美津男、編集辻井正則
スチル斎藤耕一。
出演
河西九坂本九、左田良二浜田光夫、松本健高橋英樹、永井紀子吉永小百合、永井光子渡辺ともこ、永井徳三芦田伸介、久米刑事大森義夫、ジェシー・牧梅野泰靖、黒木恵子高田敏江
伸一亀山靖博、五郎市村博、若林平田大三郎、関口滝恵一、石本石川進、吉田小島忠夫、花井林茂朗、監視員A玉井謙介、監視員B本目雅昭、運送店員ダニー飯田とパラダイスキング
バンド・マスター杉江弘、サックスの男久遠利三、ベースの男柳瀬志郎、ペット吹き石丘伸吾、正一郎清水将夫、ふさ子原恵子、管理人河上信夫、女学生A小幡真樹子、女学生B茂手木かすみ、歌手上野山功一、新田武藤章生、チンピラA木下雅弘、チンピラB井田武
チンピラC立川博、医者木島一郎、係員紀原土耕、女中清水千代、客A黒田剛
客B榎木兵衛、客C水木京一、ポンコツ屋の親父。
カムダウン!だから「スキヤキソング」の方が僕はスキ
騒がしい映画だ。
「上を向いて歩こう」
坂本九
中村八大
永 六輔
って事でしょ。
上を向いて歩こうは良いが、この映画の上とは経済的に余裕がある事。それを「上」と言ってる。
「貧乏人は麦を食え」
「所得倍増」
の時代。
真面目、不真面目の問題ではない。
この映画でやってる事は当時であってもお縄になる。
我が成人式に講演に来て頂けた中村八大先生は、この映画をどう見ていたのかなぁ。
品がなくて騒がしい。
なんか五月蝿い。
JAZZMAN達も日本ではこんな人達は少ない。勿論、そう言った人もいただろうが。
設定もテーマもストーリーも混沌とした不思議な青春娯楽映画
家庭の愛を知らないで育った二人の不良少年「九(坂本九)&良二(浜田光夫)」が主人公です。彼らはマブダチ同士ですが、鑑別所を集団脱走した後はそれぞれの道へ。
九は不良たちを集めて運送屋を営む面倒見のいいおやっさん、永井(芦田伸介)に拾われ、住み込みの仕事につきます。
永井運送にはみんなの食事の世話など献身的に働く聖母かつ寮母のような女子大生、永井紀子(吉永小百合)がいます。彼女はもらわれっ子という悲しみをひそかに胸に隠している女の子です。彼女のお陰で九は初めて家庭の味に触れます。
永井さんの次女、永井光子(渡辺トモコ)は小児麻痺で車椅子生活を送っていますが、医師によればもう身体は歩けるはず、歩けないのは心の問題だそうです。九は持ち前の明るさで心身ともに彼女をサポート。光子が立った!
良二はかねてから憧れていたジャズドラマー牧さん(梅野泰靖)の元へ。押しかけバンドボーイに収まります。でも師と仰ぐ牧さんはヒロポン&ギャンブル中毒でバンド仲間からも見放されてしまいます。そんなボロボロの牧さんですが、優しい美人彼女に救われ、田舎で再生を図ります。
やりたいことが見つからず運送屋でくすぶる九はドラマーという夢を持つ良二を眩しそうに見つめます。一方良二はドラムセットを手に入れるためには手段を選びません。親友である九を犯罪に巻き込もうとしたり、九の大事な軽トラを盗んだり。利己的で倫理感が破綻している男です。最後には九と殴り合いの末、仲良く「上を向いて歩こう」をみんなで合唱します。
永井運送には鑑別所上がりの男たちがたくさん住んでおり、住居はボクシングジムも兼ねています。血の気の多い彼らは気に入らないやつをリングに上げて集団リンチ。九も良二のトラブルに巻き込まれボコボコに。
いろいろ無茶な本作ですが、中でも最も無茶な設定の登場人物が、健(高橋英樹)です。超イケメンですが、金持ち父さんの妾の子であるという屈託を心の中に抱えています。そのせいで兄との仲も破綻し、家を飛び出し不良の道へ。その後永井運送で働いたりした挙げ句、現在はジャズ喫茶の用心棒兼違法賭博場のボスに収まっています。やってることはヤクザ顔負けですがヤクザではなさそう。なぜか恩人であるはずの永井をゆすったりします。そのせいで永井運送の若者衆たちと対立が深まります。しかもコソ勉して大学に合格します。その動機は兄貴と同じ大学に入って父に認めてもらうこと。お互いに実の親の愛を知らない永井紀子(吉永小百合)と出会い、いい感じになったりします。最後は永井運送軍団と抗争となり、ナイフを抜いて闘いますが、聖母紀子の仲裁で仲直り。みんなで「上を向いて歩こう」を合唱します。こうして書いてるだけで笑っちゃうようなメチャクチャな設定です。そして最後は取ってつけたかのような労働讃歌。
・ストーリーや設定など2の次3の次!
・イケメンとスターを出して、聖母役吉永小百合を出して、坂本九に歌わせればOK!
・ラストは乱闘からみんなで合唱ね!
・これからの映画は若者向けの娯楽だから!
・芸術なんて古い古いw
おそらく、本作の企画者である水の江瀧子はこんな指示をしていたのではないでしょうか。
そして監督の舛田利雄はそれを忠実に実行し、リアリティーもへったくれもない、勢いだけの本作を撮り上げました。「若者向け映画はイケメンと美女を出せばストーリーなんて適当でも客が入る」という悪しき前例を作ってしまいました。それは石原裕次郎やジャニーズへと引き継がれていきます。素敵な笑顔と歌声の、屈託のない戦後派スターたちが次々と現れ、屈託にまみれた戦中派の男たちは映画界からも忘れられていきます。屈託のない明るい笑顔代表の坂本九さんの隠された本心は、果たしてどうだったのでしょうか。人気者には人気者なりのつらさもあったのではないでしょうか。本作もせっかくの主役なのに、お人好しのせいかなんとなく添え物的な扱いに。R.I.P.
驚くのは坂本九のエンターテナーぶり、ただの歌手ではなく、コメディアンとしての才能に溢れていることの再発見です 九ちゃんの映画をもっと追いかけてみたくなりました
上を向いて歩こう
1962年3月4日公開、日活映画
カラー作品
誰もが知るというか小学校の教科書に載っているので日本国民全員歌える歌を映画化した作品です
元々の歌は前年の1961年10月15日の発売
それが、空前の大ヒットとなり映画化という流れです
併映は石原裕次郎主演の「銀座の恋の物語」
これも前年1961年の大ヒット曲の映画化作品でした
本作ではドラムセットが大きなモチーフになります
ドラムセットと言えば♪オイラはドラマーヤクザなドラマ~と石原裕次郎が歌う「嵐を呼ぶ男」は本作の5年前1957年の日活映画でした
本作の主題歌がヒットした1961年はジャズドラマーの巨匠アート・ブレイキーが初来日して全国各地で公演を行っています
つまりちょっとしたドラムブームだったようです
この辺のセンスはやはり製作の水の江瀧子だと思います
時代の最先端を行ってます
本作の主題歌のレコード発売から映画公開まで半年ですから、企画脚本は年内、撮影は年明けからとしても大変なスピードです
坂本九は大ヒット中の歌手、吉永小百合はまだ大スターになる前ですが二人のスケジュールを押さえるだけでも大変です
米国でもレコードが発売されビルボードのヒットチャートの1位に駆け上がるのは翌1963年のことになります
あるローカル局で何故か局地的ヒットになりそれが全米に広がったそうです
ヨーロッパではそれよりも早く1962年(本作公開年)にイギリスやフランスなどでもヒットしています
アメリカの黒人歌手サム・クックという人が当時大変脚光を浴びてヒット曲を連発していました
少し曲調や歌唱が彼と似ていたことがなにかしら影響したのではと個人的には思っています
日本映画の本作が何か影響を与ええたか?というとまあ何もないでしょう
坂本九は20歳です
ロカビリー歌手の駆け出しでした
驚くのは坂本九のエンターテナーぶり、ただの歌手ではなく、コメディアンとしての才能に溢れていることの再発見です
あのエノケンこと榎本健一から後継者と見込まれただけあります
九ちゃんの映画をもっと追いかけてみたくなりました
1985年の日航機事故で43歳でお亡くかりになられた事はあまりにも有名です、もし事故に遭わなければ、どれほど御活躍をなされたことかと改めて悔やまれます
序盤に
「あの娘の名前はなんてんかな」が劇中で歌われます
主題歌はラストにかかります
吉永小百合は17歳、まだ高校生です
この次の出演作が「キューポラのある街」になります
本作で大きな印象を残したのだと
思います
高橋英樹も17歳
見た目はもう20歳代に見える程大人びています
ブレイクするのはこの作品がきっかけだったかも知れません
お話は歌の歌詞から想像されるものとはかなりかけ離れています
恐らく戦争孤児で施設育ちの九と良二が高度成長の世の中の活況から落ちこぼれて転落していくのをなんとか踏みとどまろうとして悪戦苦闘していくというものです
しかしながらら、ラストにようやく口笛のイントロから主題歌がかかり高度成長に向け若者たちがそれぞれ各所で懸命働く姿がモンタージュされ、まるでミュージックビデオのように出演者達が集団で歌いながら行進していきます
その背後には東京オリンピックに向けて拡張工事中の前の国立競技場の立派な姿があります
いまはどんなに辛くとも明日の成功を信じて歩いて行こうという歌詞に沿ったものとして完結します
観て楽しく退屈しません
九ちゃんの歌声のリバイバル
どんなもんだろうとレンタルDVDを借りてみた。
事前の耳情報では夜間中学の話だと聞いていたのだが、蓋を開けてみると少年鑑別所を脱走した若者と、保護司たちのお話だったのですね。
唯一無二のシンガーだった坂本九が笑顔で奮闘します。
まだ戦後の混乱をどこか引きずり、復興期の最中だとわかる街並みで、九ちゃんがみんなを励まして再起させていくストーリー。
ベタな筋書きながら、意外にもしっかりした映画でびっくり。邦画の良さを教えてもらえる。
先頃、舞台演出家の宮本亜門が友人らに声をかけて「上を向いて歩こう」のリミックスを発表していたっけ。コロナも2年目ですしね。
復興ではなく、不安とジリ貧のきょうび、世界情勢も人の心も荒れてしまって、この名曲はもう一回の出番を求められているみたい。
ちょっともの悲しくて、自分を励まさなきゃならない日の応援歌として。
カーセンサーで検索したらあの魚河岸のトラック「トヨエース」がレトロな顔をして売りに出されていました。
映画内容は、複雑だが最後が良かった
・元々、歌が先に出来て、その後、この映画が出来た。
・因みに、この「上を向いて歩こう」は、日本人が歌ってる歌では
一番売れた曲らしい。世界中で何と、約1300万枚。
国内最多は、「およげタイヤキくん」の約500万枚。
1963年以来、約60年間、日本人の歌のトップ曲、らしい
・さて、映画の件ですが、最初からあれこれと事案を入れ過ぎて
ややこしいが、終盤の、
①良二と九のケンカ → 痛み分けで仲直り
②健と兄のケンカ → 紀子の発言で終了
から正常回転に動き出す
・そして、最後の3分、「上を向いて歩こう」の大合唱と行進
公園・漁場・鉄道・鉄工所・ラグビー・スキー・野球等の映像
色んな人が生活し、働き、スポーツしている映像で終了。
・この最後の3分が、この映画のメインフレームであり、
それ以外は、サブストーリー
・あまり楽しい映画でもなかったし、感動場面は少なかったが、
終わり良ければ、全て良し。
高橋英樹イケメン説
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