「女という生きもの」稲妻(1952) しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
女という生きもの
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DVDで2回目の鑑賞。
初めて観た成瀬巳喜男監督作品だった。
高峰秀子演じる清子の家族が揃いも揃ってどうしようもない人たちばかりである。4回も再婚した母親。貪欲な長女。誠実だけどどこか崩れている次女。フラフラしている長男。「次こそは」が口癖の長女の旦那。浮気相手と子を成して急死した次女の旦那。長女と次女を翻弄する男。…
そんな人々が繰り広げる、醜く滑稽な人間模様がドライに描かれる。嫌になって出て行きたくなるのも無理は無い。出て行った先で悉く良い人に出会うのもまた皮肉な話であった。
女性の様々な面が描かれている。ダメな部分もあれば、チャッカリしているところもあり、頼りないなと思いきや案外狡猾だったりもする。それら全てを引っ括めて美しいと云うことなのかもしれない。女性の世界とはなんと奥深いのだろう。
ラストの清子と母親のシーンが印象的だった。想いが爆発し双方涙を流しながらの大喧嘩。でも次の瞬間にはにこやかに談笑しながら家路に着く母親を送る清子の姿が清々しい。
特にこれと言って何かが解決したわけでは無いが、なんだかんだありながらこの家族は上手くやっていくのかもしれないと思う。家族の奥深さに不思議な余韻の残る作品だった。
※修正(2025/03/25)
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