ISOLA 多重人格少女のレビュー・感想・評価
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日本で『スプリット』を作れないのは20年前から分かっていたようだ
『リング0 バースデイ』と同時上映の2000年の作品。
阪神淡路大震災の被災地でケアボランティアに参加した由加里。彼女は自分の意思とは関係なく周囲の人々の心の声が聞こえる不思議な力を持っていた。
そこで由加里は一人の女子高生、千尋と出会う。彼女は多重人格者だった。
千尋の周囲で起きる不審死。それには、千尋の13番目の人格“ISOLA”が関係していて…。
多重人格は映画の題材としてはそう目新しくもない。古今東西、ホラーやスリラーの定番。
多重人格の題材は興味惹き付けられるし、邦画としては初めて阪神淡路大震災を舞台設定にした意欲作のだったろうが、全てにおいて空回り。氾濫する凡作Jホラーの一つ。
多重人格という題材を活かしきれていない。この手の作品の宿命なのか、多重人格と謳っておきながら出てくる人格は2~3人。
あの『スプリット』でさえ全人格を捌けなかった。それに、『スプリット』と比べると…。
由加里の他人の心の声が聞こえるという能力の必要性も感じられない。どんな意図があったの…?
多重人格や由加里の能力がメインになると思いきや、ある実験中に死亡し、幽体離脱した女性が絡んでくる。一応それが千尋の多重人格に関与しているのだが…、
どれを主軸に置きたかったのか、散漫し、一貫性に欠けた印象を受けた。
原作があるとは言え、監督の狙いは何だったのだろう…?
多重人格を題材にしたディープなサイコ・スリラーではなく、ヘンにオカルト色を出し、グロい死亡シーンなど、監督はどうやら本来の原作を読み違えたかのよう。
多重人格を演じるキャストの熱演こそ見ものなのだが…、この少女には偉大な祖父のような“天皇”の才も凄みも皆無。
若い木村佳乃が可愛いだけ。今も充分お美しいけど、別人のよう。
にしても、つまらんホラーって美人女優が居なければ目も当てられないね。
12人の人格・・・『スプリット』より少ない
被災地の避難所でボランティアをする由香里。戦争体験のトラウマのじいさんの気持ちが伝わり、慰めて心の救済をしたと思ったら、翌日自殺。心の闇の部分は簡単には解決できるものではないと訴えてくる。人の心が読み取れたらいいなぁ~などと思ったこともあったが、聞きたくもない雑念がいぱい飛びこんできたらうつ病にもなっちゃいますねぇ。
問題の多重人格少女は漢和辞典を読むのが好きだ。各人格には名前がついているが、その漢字にそれぞれ意味があり、その意味に沿って行動する。問題のISOLAは『雨月物語』の登場人物からきていて、呪い殺す意味が含まれていた。
大学で体外離脱の実験中だった高野弥生と真部。この二人の行為によって、ISOLAが千尋に乗り移った。恐怖感が沸き起こらないわけではないが、体外離脱を信じていないと物語が成り立たない弱さがある。幽霊と科学を一緒にしてしまうことで恐怖感が半減してしまう弱さなのだ。また、千尋の12人の人格という設定が活かされてない。誰だって良かったんじゃないかと思えるほどだ。これならばホラー映画にするよりも、阪神大震災での心のケアの裏テーマを深く追求したほうがよかった。
最後に「200の人格に分裂しちゃって・・・」という台詞には笑ってしまった。
「アナタは…ダレ?」「そうです、ワタすが…(笑)」(○´∀`○)
木村佳乃が初々しいねぇ~(○´∀`○)。石黒賢も渋い!(゚∀゚)多重人格っていう障害を抱えた少女とホラー的な要素を盛り込んだ意欲作。詰まるところ、ホラーは意外性が命だと思うから、そこがしっかりしてさえいればいいと思う。その点しっかりいい意味で裏切ってくれたから○。 倒壊した建物のクオリティが高かったからそこも見所かな。(○´∀`○)
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