劇場公開日 1995年8月12日

「真田広之さんの思い」EAST MEETS WEST La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)

真田広之さんの思い

2024年11月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

岡本喜八 生誕百周年記念プロジェクト - その13

 『SHOGUN』で、本年エミー賞の主演男優賞を受賞した真田広之さんがスピーチの終わりに「EAST MEETS WEST」と語られたのは、アメリカ文化と日本文化の出会いと言う意味だけでなく、ご自身が主演なさった本作が念頭にあったのは間違いないでしょう。

 咸臨丸でアメリカに辿り着いた日米修好使節団が持参した金を奪った一味を侍が追い、チャンバラとガンファイトが切り結ぶ奇想天外な世界が広がります。考えてみれば、岡本喜八監督と西部劇ってピッタリの相性です。上映後のトークによると、本作の脚本は監督60歳の時に既に書き上げていたのだそうですが、それが映像になるのは更に11年もあとの事だったのだそうです。当時、資金も潤沢ではなかったであろう喜八プロが、アメリカに乗り込んでのロケを敢行しようというのですから、様々な苦労があった事が偲ばれます。

 そして、注目すべきは今回はディレクターズカット版であった事です。というと、「公開時には泣く泣くカットせざるを得なかったシーンを復活させて再編集」の結果、長くなるというのが普通です。ところが、本作の場合はオリジナルが124分なのに対してディレクターズカット版では108分と短くなっているのです。この点、映画会社や配給からの圧力で2時間作品にせざるを得なかったが、テンポやスピード感を重んじる監督には後悔が残ったのだろう事が察せられます。ここカッコいいなぁ。

 更に贅沢を言うなら、本当に贅沢を言うなら、上映後にオンラインでもよいから真田広之さんのお話を伺いたかったなぁ。

La Strada