劇場公開日 1964年9月19日

甘い汗のレビュー・感想・評価

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5.0ねっとりした暑さと汗と欲望と

2019年6月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

酒場女の梅子を演じる京マチ子の無駄肉がついた肢体が、生々しい愛憎劇。

歳をとり焦りを感じてもがく姿と彼女を利用する昔の愛人を演じる佐田啓二の2枚目だけどゲスい男の話も結構クル。

名古屋章が同居人の旦那役だが、奥さんの尻に引かれてアタフタした優柔不断な感じなのだが、これって名古屋章が80年代によく演じていたテレビドラマの役そのままで笑える。

生活描写で、ご飯と漬物だけの食事、友達の家で味噌汁がでてくると喜ぶところや生卵を嬉しそうに方張る女子高生などの当時の食卓の風景なども興味深い。

豊田四郎監督は、同じ東宝に所属する巨匠、成瀬巳喜男とは違うアプローチと題材を担当していて興味深い。

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ミラーズ

4.0甘い汗ってどんなにおい?

2018年5月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

悲しい

幸せ

甘い汗とは、女性の掻く汗のことだろう。
男が甘い汗を掻くとは想像しがたい。
体を売るのも肉体労働だし、そこには愛憎にまみれた甘い汗があるだろう。
同じ水木洋子脚本の『おかあさん』でも確か、狭い部屋で寝る一家の姿が描かれたと思うが、理想的な一家の『おかあさん』に比べて、真逆の不和状態の家族である。
互いに相手を理解できず、憎しみあうのが可笑しくて悲しい。
また口達者に自己弁護ばかりペラペラ喋る、母・娘・嫁の女性陣に比べ弟や兄はオロオロするばかり、それが名古屋章だから余計おかしい。秀逸なキャスティングだ。
愛人を番号で呼んで、2号3号4号と平然と犬を飼うように養う男たち。
今にすれば、どこか異国の情景のようで女性の人権は本当に軽い時代だったのだなと思う。ただ高校生の娘に手を出そうとする伯父など、日本の男のロリコン趣味に関しては今も昔も変わらない。
女を食い物にするだけの卑劣で小者揃いの大和男児に対して、踏まれても抜かれても雑草のように逞しい日本の女。
ラストシーンも女性脚本家があっけらかんとした女性像を描こうとしたのに対して男性監督はいじらしい切ない女性像を描こうとしたらしい。
女が強いと都合が悪いのは、日大の監督が選手に真実を告白されると都合が悪いのと似て、自分の小者ぶりが発覚するのを恐れているのかも知れない。

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るるびっち