「兄妹愛」あにいもうと(1976) 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
兄妹愛
これが3度目の映画化となる、鮮烈な兄妹愛の物語。1976年の作品。
今井正監督・水木洋子脚本のコンビなので、市川崑の名作「おとうと」のような文芸の香り漂う作品かと思ったら、退廃的でありながら若さ溢れる作品に仕上がっていた。
川べりで暮らす一家。父、母、長男、長女、次女の5人。
東京に出ていた長女が妊娠して戻ってくる。長男は散々なじり、長女は家を出る。長男は行方を捜す…。
顔を合わせれば喧嘩し互いを傷つけ合う長男と長女の兄妹。
その関係はただの深い兄妹愛ではなく、うっすら近親愛的な感情をも匂わせる。
長男が、長女を妊娠させた男に食ってかかるのは、惚れた女を弄んだ相手への妬みのように感じた。
不器用な兄の愛に妹が笑顔で応えるラストに、ほっこりさせられる。
気性の激しい長男を草刈正雄が熱演。長女の秋吉久美子は妖艶な魅力。次女の池上季実子も含め、若い!
頑固な父・大滝秀治は本作他でキネマ旬報助演男優賞受賞。
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